マテバシイを活用した天蚕多回育技術
マテバシイを活用した天蚕多回育技術
レコードナンバー | 845066 | 論文タイプ | 学術雑誌論文 |
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ALIS書誌ID | ZZ20008015 | NACSIS書誌ID | AN10294787 |
著者名 | 大塚 照巳 松嶋 一彦 久保田 貴志 都田 達也 篠塚 正則 吉井 幸子 丸 敏 岩瀬 裕子 | ||
書誌名 | 千葉県蚕業センター研究報告 | ||
発行元 | 千葉県蚕業センター | ||
巻号,ページ | 14号, p.1-96(1991-03) | ISSN | |
全文表示 | PDFファイル (41934KB) | ||
抄録 | 天蚕飼育において、稚蚕期を人工飼料育、壮蚕期をマテバシイ樹林に放飼育する技術を中心として、多回育に伴う稚蚕人工飼料育基準の設定、飼料樹の生産管理と病虫害防除技術、壮蚕飼育法の簡易化と繰糸技術並びに稚・壮蚕から収繭に至る各技術組立による年3回の多回育技術体系を確立した。その成果は次のとおりである。1)稚蚕人工飼料育用の飼育容器の開発と利用技術 稚蚕共同飼育用の飼育容器を開発し、これまでの飼育試験結果を踏まえて、1~3齢人工飼料育用の取扱表(モデル)を作成した。飼育容器の大きさは、縦1m×横1m、高さ5cmとし、底板(アルミ板)、仕切り板(アルミ板),被覆板(塩ビ材、ビニール窓網付)からなる構造で、飼育蚕座面積は1区画21cm×19cmのもの20区画を具える。飼育容器1セット当り、1齢2000頭、2齢1000頭、3齢500頭収容できる。本容器と蚕座網(網蚕座)の併用により、人工飼料育の取扱いは容易であり、特に拡座、除沙作業は大幅に省力可能である。2)稚蚕人工飼料育基準の設定 1~3齢人工飼料育用の取扱表(モデル)を作成し、10000頭飼育規模(飼育容器20セット)を基準にした作業手順、能率の調査結果をもとに、人工飼料基準を設定した。3人組作業とし、1齢期は掃立および3日目の給餌作業に10.1時間、2齢期は1日目および3日目の作業に6.2時間、3齢期は1日目、3日目、5日目および配蚕時の作業に計15.8時間を要し、1~3齢期の作業時間は合計32.1時間であった。3)蚕座網による配蚕法 飼育蚕座に設置した蚕座網(トリカルネット19cm×20cm)は、網蚕座として利用できるとともに、網のまま飼料樹に直接配蚕可能であり、落下蚕もほとんどなく、配蚕作業は効率的に実施できる。4)未利用樹林マテバシイの樹型改造と利用法 マテバシイの萌芽再生力は強く、クヌギに比べて病害虫の発生は極めて少ない。既成林は主幹高50cmに伐採することにより、その後の飼育管理作業が容易で、萌芽量多く飼育林化も早い。既成林は水挿育や放飼育の飼料樹として活用したのち、主幹伐採して飼育林化していく方法をとるのがよい。5)マテバシイによる壮蚕飼育技術 マテバシイを飼料樹とした場合、クヌギに比べて遜色のない繭質成績が得られた。マテバシイ飼育林での放飼育では、防除網を吊棚方式に被覆することにより、10a当り(150本)、12000頭の飼育が可能である。また、水挿育では、クヌギに比べて飼料樹の萎凋速度がかなり遅いこともあり、飼料交換の回数も少なくてすみ、1回当り4000頭程度の飼育が可能である。6)マテバシイによる天蚕の多回育技術 4月中旬、5月上旬、6月上旬掃立の年3回育を実施したところ、6月掃きの収繭繭質成績がやや劣ったものの、おおむね60~80%の収繭率が得られた。また、水挿育の繭質成績は放飼育に比べて優れていたが、作業能率では放飼育の約2倍を要した。7)天蚕繭繰糸機の開発と利用 本機は、索緒・抄緒および繰解部の三層から構成されており、温度コントロールや小枠回転速度の調整ができる構成になっている。従来の座繰機に比べてコンパクトであり、繰糸作業を効率的に行える。 | ||
引用文献数 | 77 | 登録日 | 2015年08月19日 |
収録データベース | JASI, AGROLib |