短時間昇温処理による開花促進に基づくスプレーギクの温度制御技術に関する研究

短時間昇温処理による開花促進に基づくスプレーギクの温度制御技術に関する研究

レコードナンバー850669論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20011204NACSIS書誌IDAA11651516
著者名道園 美弦
書誌名花き研究所研究報告
発行元農業技術研究機構花き研究所
巻号,ページ12号, p.1-46(2012-12)ISSN13472917
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抄録温度は花きの生育と開花に大きな影響を与える環境要因であり,花きの施設栽培においては,温度制御に多大なエネルギーを投資している。したがって,生産現場では低コスト化につながる温度制御技術の開発が望まれている。15年程前より,昼夜温度差(DIF)を利用する草丈制御技術が注目され,数多くの研究報告がある。しかし,DIFを適用できる期間は限定されることに加え,コストがかかることから生産現場での利用は少ない。そこで,DIFを応用した,より低コストな生育調節技術の開発を目的とし,短時間昇温処理の効果に関する研究を行った。まずは人工気象器環境制御下での開花生理研究に適しているアフリカンマリーゴールドを材料に用いて検討し,暗期において開花反応を促進する時間帯を見いだした。次に,主要切り花であるスプレーギクを用いて同様に人工気象器環境制御下で短時間昇温処理の効果を解析するとともに,施設栽培環境下で適用可能かどうかを検討した。アフリカンマリーゴールドでは,暗期開始時(日没時)の短時間の昇温処理により開花反応が促進する現象を見いだした。その後の実験で,この現象は暗期終了前(夜明け前)の昇温では起こらず,暗期開始時(日没時)の昇温で特異的に起こる現象であることが明らかになった。本現象は,温度による開花制御技術の開発につながる新たな知見と考えられた。そこで,実用化技術の確立を目指し,さらに詳細な解析を行った。まず,人工気象器下で暗期における短時間昇温の時期,長さ,昇温の程度を変えた実験を行った。短時間昇温処理の時期では,明期22℃/暗期14℃を対照に暗期開始時,暗期中央,暗期終了前に30℃,3hの処理を行った。その結果,暗期開始時では開花反応が促進すること,および暗期終了前では開花反応に抑制的に働くことが明らかとなった。暗期開始時の昇温時間では,30℃/0.5h,1.0h,2.0h,および3.0hの処理区において,0.5hでも開花反応が促進すること,昇温温度では3h/22℃,26℃,30℃の処理区において,22℃でも開花反応が促進することを見いだした。花芽分化および発蕾までの花芽発達について,経時的な形態観察を行った。その結果,暗期開始時短時間昇温処理により,花芽未分化から成長点膨大期を経て小花形成前期までの発育段階が早くなっていることが明らかになった。また,発蕾以降に暗期短時間昇温処理を施しても時間帯の違いによる開花反応を促進する効果は認められなかった。これらの結果から,暗期開始時短時間昇温処理による開花反応の促進効果は,花芽未分化から小花形成までの発育段階に作用点があるものと考えられた。次に,暗期開始時短時間昇温処理による開花の促進効果を,主要切り花であるキクにおいて検討した。スプレーギク品種‘セイローザ’の低温環境下において暗期開始時短時間昇温処理により開花反応が促進した。この効果は花芽分化および初期の花芽発達に影響が大きく,アフリカンマリーゴールドと同様に花芽未分化から小花形成までの発育段階に作用することを見いだした。施設栽培における冬期作型で暗期開始時短時間昇温処理による開花反応の促進効果を検討した。その結果,施設栽培のスプレーギクについても日没時短時間昇温処理により開花を促進する効果が認められた。この効果は,生育温度が低いほど顕著であった。また,側枝の長さや角度に関する花房形質についても改善効果が認められ,慣行栽培と同様の花房形質を維持することができた。これらの結果から,冬季のスプレーギクの切り花生産において低温開花性を有する品種を用い,著しい生育不良の生じない栽培夜温13℃程度の温度域内において栽培する際に,日没時短時間昇温処理を活用することで暖房コストが15%程度削減するスプレーギクによる開花促進技術の基盤を確立できた。
索引語開花反応;スプレーギク;暗期開始時短時間昇温処理;促進;効果;短時間昇温処理;DIF;暗期終了前;昇温;発育段階
引用文献数96
登録日2013年08月02日
収録データベースJASI, AGROLib

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