リンゴの半わい性台木および極わい性台木の新品種‘JM2’,‘JM5’
リンゴの半わい性台木および極わい性台木の新品種‘JM2’,‘JM5’
レコードナンバー | 870017 | 論文タイプ | 学術雑誌論文 |
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ALIS書誌ID | ZZ20011205 | NACSIS書誌ID | AA11651673 |
著者名 | 副島 淳一 吉田 義雄 羽生田 忠敬 別所 英男 土屋 七郎 増田 哲男 小森 貞男 眞田 哲朗 伊藤 祐司 定盛 昌助 樫村 芳記 阿部 和幸 古藤田 信博 | ||
書誌名 | 果樹研究所研究報告 = Bulletin of the National Institute of Fruit Tree Science | ||
別誌名 | Bulletin of the NARO Institute of Fruit Tree Science Bull. Natl. Inst. Fruit Tree Sci 果樹研報 | ||
発行元 | 農業技術研究機構果樹研究所 | ||
巻号,ページ | 16号, p.19-36(2013-09) | ISSN | 13473549 |
全文表示 | PDFファイル (1841KB) | ||
抄録 | 1.‘JM2’および‘JM5’は,いずれも1972~1975年にマルバカイドウ‘セイシ’に‘M.9’を交雑して得られた実生群から選抜されたリンゴの半わい性および極わい性台木品種である。1984年に一次選抜され,1985年から‘リンゴ台木盛岡2号’,‘リンゴ台木盛岡5号’の系統名でリンゴ台木第一回系統適応性検定試験に供試された。その結果,1997年8月19日付けでりんご農林台13号‘JM2’,りんご農林台14号‘JM5’と命名登録された。また,2000年7月31日付けで登録番号第8223号,第8224号として各々品種登録された。2.‘JM2’の発芽期は育成地で4月上旬,枝梢の太さは中程度で直立している。開花期は‘ふじ’とほぼ同時期の5月中旬,果実の成熟期は9月上中旬である。果実は扁円形で27g程度と極小さい。‘JM5’の発芽期は4月上旬,枝梢の太さは細く,直立している。開花期は‘ふじ’とほぼ同時期の5月中旬,果実の成熟期は10月上中旬である。果実は扁円形で27g程度と極小さい。両品種とも果実は黄色で,極めて酸味が強く,渋みがあるため生食には適さない。3.‘JM2’および‘JM5’は,休眠枝挿しによる繁殖が可能である。挿し木によって発生した新梢は直立し,挿し木当年に台木として使用可能な大きさの苗木に成長する。‘JM2’の耐水性は比較的強く,‘JM5’はやや劣る。リンゴワタムシに対しては‘JM2’は感受性,‘JM5’は抵抗性である。クラウンロットに対しては病原菌の種類により中程度~強い抵抗性を示す。高接病ウイルスのうちACLSVに対しては‘JM5’は感受性であるので注意が必要である。いずれの品種も野ネズミの食害に対する被害防止対策を講じる必要がある。4.台木として利用した場合はいずれも台勝ちを呈する。‘JM2’台14年生‘ふじ’の主幹の太さは‘M.9EMLA’台利用樹の115%程度となり,‘JM2’は半わい性台木であると考えられる。‘JM5’台利用樹では65%程度であり,‘JM5’は極わい性台木であると考えられる。ひこばえの発生は‘JM2’は‘M.9EMLA’と同程度にやや多いが,‘JM5’では極少ない。いずれの品種も気根束の発生は少ない。‘ふじ’の果実品質をみると,主幹形仕立ての‘JM2’台利用樹ではやや劣るため,今後半密植栽培に適した樹体管理方法の確立が求められる。‘JM5’台利用樹では果肉硬度と糖度が高く,品質の優れた果実が生産される。5.‘JM2’,‘JM5’はわい性台木の利用が可能な全国のリンゴ栽培地帯に適し,それぞれ半わい性台木,極わい性台木として今後広く普及することが期待される。 | ||
索引語 | JM5;JM2;果実;台利用樹;ふじ;極わい性台木;半わい性台木;発芽期;開花期;同時期 | ||
引用文献数 | 32 | 登録日 | 2014年06月11日 |
収録データベース | JASI, AGROLib |