無線伝送式pHセンサーを用いた乳牛の亜急性第一胃アシドーシスの診断と制御に関する研究

無線伝送式pHセンサーを用いた乳牛の亜急性第一胃アシドーシスの診断と制御に関する研究

レコードナンバー870739論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20038563NACSIS書誌IDAA12483687
著者名木村 淳
書誌名産業動物臨床医学雑誌 = Japanese journal of large animal clinics
発行元日本家畜臨床学会
巻号,ページ4巻・ 2号, p.51-59(2013-11)ISSN1884684X
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抄録近年,濃厚飼料の多給や飼養管理の失宜によって,亜急性(潜在性)第一胃アシドーシス(Subacute rumen acidosis; SARA) の発生が問題となっている。SARA牛が増加すると,牛群において蹄葉炎,食欲減退,低乳脂肪症候群,第四胃変位や潰瘍および第一胃炎などが多発し,また,泌乳量や繁殖成績が低下し,経済的損失が甚大となる。SARAを診断するためには,第一胃液pHの正確なモニタリングが必要である。近年,海外において有線式pH測定システムが開発され,第一胃液pHの連続測定によるSARAの病態に関する研究が行われている。しかし,この測定システムは,第一胃フィステルの装着が必要であることから,臨床現場での応用は困難であった。このような背景のもと,Satoらは臨床現場でのSARAの摘発を目的として,経口的に投与可能な無線伝送式pHセンサーを新たに開発した。今回,無線伝送式pHセンサーを用い臨床現場においてSARAの診断と制御を行うことを目的として以下の基礎的研究を行った。はじめに,第一胃フィステル装着牛を用いて, pHセンサーによる測定値と採取した第一胃液pHの関係を検討した。その結果,両者の間に有意な正の相関が認められ,無線伝送式pHセンサーによるpH測定値は,極めて精度が高いことが明らかになった。次に,第一胃内の部位別および第一胃と第二胃液pHの関係を検討した。第一胃液pHは第二胃液pHに比べてわずかな低値で推移し,第一胃液と第二胃液のpHとの間に有意な正の相関が認められた。さらに,第一胃液のpHと温度との関係について検討した結果,濃厚飼料主体の飼料を給与した場合,第一胃液pHは著しく低下,温度は著しく上昇する傾向を示し,pHと温度との間に有意な負の相関が認められた。最後に,第一胃および第二胃液pHを連続測定し, SARAの診断基準を検討した。SARA牛の診断基準として,従来の第一胃液pHによる基準に加え,第二胃液pHを用いた場合は,1日あたり3時間以上にわたって6.3以下の値を呈するものと定義できることが明らかとなった。以上のように今回の研究により,無線伝送式pHセンサーは,野外の乳牛におけるSARAの診断と制御において有効なツールであり,高泌乳牛を対象とした栄養管理や牛群管理に広く応用可能であることが明らかとなった。
索引語第一胃液pH;SARA;第二胃液pH;無線伝送式pHセンサー;診断;検討;研究;制御;正の相関;第一胃
引用文献数33
登録日2014年04月25日
収録データベースJASI, AGROLib

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