アラカシ(Quercus glauca)リーフリターへのコカクツツトビケラ(Lepidostoma japonicum)による摂食・営巣行為が渓流水質に及ぼす影響と溶出成分利用の可能性について

アラカシ(Quercus glauca)リーフリターへのコカクツツトビケラ(Lepidostoma japonicum)による摂食・営巣行為が渓流水質に及ぼす影響と溶出成分利用の可能性について

レコードナンバー872627論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20010095NACSIS書誌IDAA11836271
著者名北村 泰一
書誌名南九州大学研究報告. A, 自然科学編 = Bulletin of Minamikyushu University. A, Natural science
発行元南九州大学
巻号,ページ44号, p.1-10(2014-04)ISSN1348639X
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抄録河畔域から渓流に供給されるリーフリターは膨大な量にのぼると推測され,その溶出成分は渓流水質の形成に重要な役割を果たすものと思われる。河畔から渓流水中に落下したリーフリターは,その後の菌類・微生物増殖(conditioning)や水生昆虫の摂食等を経て分解が進む。筆者は,これまで南九州河畔域に広く分布する常緑広葉樹であるアラカシリーフリターの溶出・分解特性の解明を進めてきたが,これに対する水生昆虫の影響については不明であった。そこで本研究は,南九州渓流に広く生息するコカクツツトビケラの摂食・営巣行為がアラカシリーフリターの溶出・分解特性に及ぼす影響を実験的に明らかにすることを目的とした。さらには,コカクツツトビケラによる溶出成分の利用の可能性についても考察した。2013年3月,一ツ瀬川支流竹尾川下流(宮崎県西都市)の河畔域に生育するアラカシの2年葉(落葉直前のもの)を採取し,十分な洗浄・乾燥と重量測定の後,1,000(ml)の現地渓流水を満たした5個の水槽(40×15×20cm)に1,3,6,12,24枚ずつ投入した。各水槽は各5個ずつ2組(合計50個)準備し,1組は調整区(control)とし,他の1組には2013年3月に同調査地で採取したコカクツツトビケラ幼虫を,筒巣サイズを計測後,6匹ずつ投入し,実験区(experimental)とした。各サブサンプルは市販ポンプにより酸素を供給し温度調整をしない実験室に置き,30日後,アラカシリーフリターの乾燥重量を計測し,コカクツツトビケラの成長率,羽化率,死亡率を測定するとともに,投入水に含まれる全炭素量(TC),全窒素量(TN),陽イオン濃度,陰イオン濃度を測定した。30日間でのアラカシリーフリターの重量損失は,溶出のみで14.95~27.46%,コカクツツトビケラ幼虫の摂食・営巣行為によっては23~50%程度と推測された。また,成分の溶出に伴う水質変化が認められ,EC,pH,TC,TN,Na+,NH4 +,K+,Cl-・NO3 -濃度においては,調整区と実験区との間に有意な違いが認められた(P<0.05)。この違いの原因は,おもにコカクツツトビケラ幼虫の摂食・営巣行為に伴うアラカシリーフリターの破砕および微生物の増殖,ならびに幼虫が排出した糞によるものと推察された。さらに,溶出成分濃度が高い実験区において,コカクツツトビケラ幼虫の成長率と羽化率が高く死亡率が低いことが認められた(P<0.005)。これらの実験結果から,コカクツツトビケラ幼虫は摂食・営巣行為を通じて,渓流水質の成分組成に影響を及ぼしているとともに,より質の高い栄養源として溶出成分を利用している可能性のあることが示唆された。
索引語アラカシリーフリター;摂食;リーフリター;営巣行為;K+;コカクツツトビケラ幼虫;影響;アラカシ;溶出;渓流水質
引用文献数32
登録日2014年09月25日
収録データベースJASI, AGROLib

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