抄録 | 本資料は,原著論文Masayoshi Uefune, Soichi Kugimiya, Rika Ozawa, Junji Takabayashi (2013) Parasitic wasp females are attracted to blends of host-induced plant volatiles: do qualitative and quantitative differences in the blend matter? F1000Resarch, 2013, 2: 57. の内容を日本語で解説したものである。コナガサムライコマユバチのメス成虫は,寄主であるコナガによって食害されたアブラナ科植物が放出する揮発性成分に含まれるサビネン,n-ヘプタナール,α-ピネン,(Z)-3-ヘキセニルアセテートのブレンド(ブレンドA)に生得的に誘引される。このブレンドをコナガ防除に応用するために,本寄生蜂のブレンドに対する応答性,学習性について調べてきた。本研究では,ブレンドの質的変化((R)-リモネンを追加: ブレンドB)・量的変化(4成分の比率を変化: ブレンドC)がコナガサムライコマユバチの嗅覚反応に影響を及ぼすかどうか調べた。各ブレンドに対して羽化後何の経験もしていないメス成虫は,ブレンドAとB,または,ブレンドAとCを同等に選好した。ブレンドAとBの比較では,ブレンドBの存在下で産卵を経験したメス成虫はブレンドBを選好し,ブレンドBの存在下で空腹を経験したメス成虫はブレンドAを選好した。ブレンドAとCの比較では,ブレンドAの存在下で産卵経験したメス成虫はブレンドAとCを同等に選好したが,ブレンドAの存在下で空腹経験したメス成虫はブレンドCを選好した。コナガサムライコマユバチが誘引物質のわずかな違いを経験によって識別し,学習できることを示した。 |