パン用秋まき小麦「キタノカオリ」の良質安定栽培法

パン用秋まき小麦「キタノカオリ」の良質安定栽培法

タイトルパン用秋まき小麦「キタノカオリ」の良質安定栽培法
要約パン用小麦である「キタノカオリ」はめん用小麦「ホクシン」に比べ耐倒伏性は あるが、低収となり易い。子実重 600kg/10a、子実タンパク含量 11.5%以上を目指した窒 素施肥法として起生期~幼穂形成期の増肥と止葉期以降の追肥を行うことが有効である。
キーワードパン用秋まき小麦、キタノカオリ、窒素施肥、耐倒伏、子実タンパク含量
担当機関北海道立中央農業試験場 作物開発部 畑作科
北海道立十勝農業試験場 生産研究部 栽培環境科
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター 畑作研究部 生産技術研究チーム
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター 生産環境部 養分動態研究室
連絡先01238-9-2284
区分(部会名)北海道農業
分類技術、普及
背景・ねらい「キタノカオリ」は現在の秋まき小麦奨励品種の中では最も製パン性が高 く、道内外の実需から高品質安定生産が期待されている。本成績はパン適性の高い「キタ ノカオリ」の特性を発揮させるため子実タンパク 11.5%以上を目標に、安定多収を目指す 栽培法を、とくに既存品種であるめん用小麦「ホクシン」との比較で明らかにする。
成果の内容・特徴1.「キタノカオリ」は「ホクシン」に比べ越冬前の生育が劣る。子実重は道央ではやや劣
る。子実タンパクは 1.0 ポイント程度高い。耐倒伏性が強く、窒素吸収量が 20kgN/10a
程度では倒伏しない(図1)。止葉期以降の窒素施用による増収効果が高い。 2.「キタノカオリ」の子実はα-アミラーゼ活性が高い傾向にあり、低アミロ耐性は「ホ クシン」よりも劣る。また、品質特性として、窒素施肥法が異なっても子実のタンパク 組成バランスは変わらない。子実タンパクが増加すると 60%粉の生地特性は向上し、パ
ンの比容積が高くなる。 3.道央では「キタノカオリ」は播種適期(9月中旬まで)を厳守する。播種量は「ホク
シン」並で良いが、播種適期内でも晩限に近い場合、播種量を 1.3 倍(340 粒/m2)程度 に増やす。窒素施肥法では穂数確保のため起生期~幼穂形成期に 3kgN/10a 程度窒素の 増肥を行う。さらに止葉期 6kgN/10a(子実タンパク上昇 1.0 ポイント)の追肥、もしく は子実タンパクが低いと予想される地域では、止葉期 3kgN/10a に加え開花期以降尿素 2%溶液の葉面散布 3 回(同 1.5 ポイント)の追肥を行う(図2、表2)。
4.道東における「キタノカオリ」の播種期・播種量は「ホクシン」に準じる。窒素施肥 量は熱水抽出性窒素を指標として窒素施肥量を設定する(表1)。子実タンパクの基準 値 11.5%以上を達成するためには「ホクシン」より 5~6kg/10a 増肥(葉面散布を含む) する。基肥窒素は 4kg/10a、起生期における窒素施肥量は 8kg/10a 程度までとし、残分 を幼穂形成期以降、止葉期頃までに施肥するが、幼穂形成期の施肥で増収効果が高く (10%程度)、子実タンパクも高まる(子実タンパク上昇 1.0 ポイント)。高タンパク化ためには開花期以降尿素 2%溶液の葉面散布 3 回(同 0.8 ポイント)を行う(表2)。
成果の活用面・留意点1.本品種は低アミロ耐性が弱いことから、適期収穫・乾燥に努める。 2.止葉期以降の窒素施用により成熟期は 2 日程度遅れる。 3.本試験の成果は雪腐病、立枯病などの病害、湿害により生育不良となった圃場で
は窒素施用により“穂先熟”等を招くことから適用できない。 4.標準栽培した「ホクシン」で子実タンパクが 8.0%を越えない低タンパク圃場では本
栽培法によってもパン用小麦の限界許容値(10.0%)に達しないことがある。 5.2001、2002(播種)年は低温登熟で多収となった。
予算区分麦プロ、21 世紀プロ、ブラ・ニチ
研究期間1999~2003
研究担当者建部雅子(北農研) 、古賀伸久(北農研)、佐藤 仁、佐藤康司、佐藤導謙、中津智史、辻 博之(北農研)、東田修司
発表論文佐藤康司ら(2003)日本土壌肥料学会北海道支部秋季大会講演要旨集、辻ら
辻ら (2003)日本作物学会記事 72(別 2)324-325
建部雅子ら(2002)日土肥学会講要 49, 233
発行年度2003
収録データベース研究成果情報

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