食品素材・食品中のキチン質分解酵素活性とそのGlcNAc増強への利用

食品素材・食品中のキチン質分解酵素活性とそのGlcNAc増強への利用

タイトル 食品素材・食品中のキチン質分解酵素活性とそのGlcNAc増強への利用
要約 食品素材・食品中のキチン質分解酵素活性とそのGlcNAc増強への利用 食品素材・食品の抽出物中に存在するキチン質分解酵素活性を調べた結果、唐辛子が高 い値を示したほか、トマト、キノコ、魚介類内臓、キムチ、カツオ塩辛、麹等にも活性が見いだされた。本知見を生かし、機能性糖質 N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の食品熟成・加工過程における増強が可能となる。
キーワード キチン、キチンオリゴ糖、N-アセチル-D-グルコサミン、糖質加水分解酵素、唐辛子、キムチ、キノコ類、麹、魚介類内臓
担当機関(独)食品総合研究所 食品素材部 糖質素材研究室
連絡先029-838-8053 / tokuyasu@affrc.go.jp / tokuyasu@affrc.go.jp
区分(部会名)食品
背景・ねらいN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の変形関節炎の改善効果がヒト試験により確認されている(新薬 と臨床、Vol.52、No3、p71-82、2003)。また、GlcNAc は良質の甘味を有しており、現在、GlcNAc安定的 摂取を目的とした乳製品やタブレット等の製品が開発・市販されている。このような状況から、本研究で は、食品素材や食品に存在するアミノ糖加水分解酵素の活性や相互作用を利用し、食品の熟成・加工過程 等において機能性糖質を増強する新技術を開発するため、キチンやその部分分解物から GlcNAc を生産する 酵素活性を中心にスクリーニングを行った。
成果の内容・特徴1.酸加水分解によるアミノ糖の低分子化工程では、副生成物の脱アセチル化物が着色、えぐ味等の原因 となることから、穏和な方法として酵素変換技術の開発が求められてきた。そこで、通常の食生活に おいて摂取されると考えられる食品素材や食品約 130 種類について、その抽出物中に存在する GlcNAc 遊離活性を調べた結果、唐辛子やその種に極めて高い活性が見いだされた(図1)。また、トマト、 レタスなどの野菜抽出液や、コショウ、キノコ、魚介類内臓、市販キムチ、カツオ塩辛、麹等に比較 的高い活性が見いだされた。
2.唐辛子の水抽出液を用いてキチンオリゴ糖と反応させたところ、5糖および6糖を基質とした方が4 糖以下を基質とした場合よりも単糖(GlcNAc)の生産量が増しており、N-アセチル-β-D-ヘキソサミ ニダーゼ活性およびキチナーゼ活性の低分子化への関与が示唆された(表1)。
3.キムチの汁を粗酵素液としてキチンオリゴ糖と混合した場合、4°Cで静置した場合でも GlcNAc が増強 されたことから、食品の低温熟成により機能性糖質を増強できる可能性が示された(表2)。
4.魚介類内臓、キノコ菌床近傍等、一般的に廃棄されることの多い可食性部分にも活性が認められた。
成果の活用面・留意点様々な食品素材や食品の抽出液中に存在する GlcNAc 生成酵素活性を利用して、多岐にわたる食品の開 発が可能となり、未利用資源の有効利用にも道が拓けるものと期待される。トマト、香辛料、キノコ、魚 介類内臓などは、抽出液自体に呈味成分が存在することから、キチンの部分分解物等の反応基質を加えて 熟成させることにより、新食味食品、調味液等の開発が可能となる。その際には、適宜、酵素抽出後に膜 濾過工程等を利用して雑菌の汚染・繁殖を抑えたり、生食を想定していない食品素材からの抽出成分等を 最終段階において加熱処理工程等により失活させる必要がある。
予算区分 農林水産省委託プロジェクト「食品の安全性および機能性に関する総合研究」 発表論文等
研究期間2005~2005
研究担当者徳安健
特許出願(公開)1)徳安健:オリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材と、その製造方法、特願 2006-11059(2006 年1月19日)
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

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