タイトル | 農産物直売所を利用する消費者の野菜購入特性と購買行動 |
要約 | 農産物直売所を利用する消費者は、野菜購入の際に一般消費者に比べ「地場産」、「国産」、「安全性」を重視するこだわり層である。また、リピーターが多く高年齢層が中心である。産地立地型直売所では出張販売型に比べて利用頻度はやや低い。 |
担当機関 | 中国農業試験場 総合研究部 総合研究第3チーム |
連絡先 | 0849-23-4100 |
区分(部会名) | 中国農業 |
専門 | 経営 |
分類 | 指導 |
背景・ねらい | 中山間地域の野菜産地において農産物直売所を通じての販売が近年増加している。ここでは、中山間産地が開催している直売所を利用する消費者の特徴を、一般消費者との違い、産地立地型と出張販売型の違いの2点から明らかにする。
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成果の内容・特徴 | - 一般消費者に比べた直売所利用者の特徴
一般消費者(直売所利用の有無は問わない)について、ふだん野菜を購入する際に重視する点を最大4つまで選んでもらった結果を数量化Ⅲ類により分析した。抽出された第1軸のカテゴリスコアは、「調理方法」、「外観」等が正値、「地場産」、「国産」、「安全性」等が負値となった(表-1)。つまり、第1軸は利便性や外観を重視する型と産地や安全性を重視する型の違いを示す軸と捉えられる。 この第1軸について、一般消費者と直売所利用者のサンプルスコアを比べると、後者は負の側に偏っており、「地場産」、「国産」、「安全性」を重視するこだわり層が多い(表-2)。
- 地域の野菜消費量にしめる直売所利用の割合
都市部への出張販売型直売所(テント設置、週2回開催)の利用者を対象に、野菜の自家消費にしめる当該直売所の利用割合を推計した。周辺部半径約300mの範囲内では、地域の全世帯数の4%が自家の野菜消費量の52%を買っている。つまり地域の野菜消費量の約2%を賄っている。半径約100mの範囲内に限定すると、それぞれ11%、66%、7%である。
- 産地立地型直売所と都市部への出張販売型直売所の違い
1)年齢層:いずれも40歳代以上の高齢者層が多い。出張販売型(推計平均年齢57歳)の方が産地立地型(同55歳)よりやや高年齢である。(図-1)。 2)利用者の範囲:出張販売型では500m~1kmの範囲内が大半であるが、産地立地型では車で1時間程度の範囲内の都市部からが68%、地元町及び隣接町からが23%をしめる。 3)利用頻度:いずれもリピーターが多いが、出張販売型では毎週利用する日常的利用が多いのに対して、産地立地型では年数回~月2回程度に偏っている(図-2)。
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成果の活用面・留意点 | 農産物直売活動を始めるときに、対象とする消費者、需要量等を予測するのに参考となる。産地立地型の利用頻度は、主要道路に面しているなどの立地条件によって、上記結果とは多少異なることもある。
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具体的データ |
表-1 |
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表-2 |
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図-1 |
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図-2 |
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予算区分 | 地域総合 |
研究期間 | 1997~1999 |
研究担当者 | 藤森英樹、飯坂正弘、櫻井清一 |
発表論文 | 『中国農業試験場流通研究資料』8、1998.5刊行予定 |
発行年度 | 1997 |
収録データベース | 研究成果情報 |