タイトル | 培地の簡易殺菌法によるアスパラガスの低コスト培養苗生産 |
要約 | アスパラガスの低コスト・培養苗生産法として培地に次亜塩素酸ナトリウム溶液を加用あるいは培地表面に噴霧する簡易殺菌法を開発した。この方法により培地の高圧殺菌過程を省略し、不定胚の非無菌条件下での大型容器への移植が可能となる。 |
担当機関 | 広島県立農業技術センター 生物工学研究所 細胞工学研究室 |
連絡先 | 0824-29-0521 |
区分(部会名) | 中国農業 |
専門 | バイテク |
研究対象 | 葉茎菜類 |
分類 | 指導 |
背景・ねらい | アスパラガス優良雄株のクローン苗を低コストで生産するため、オートクレーブによる培地殺菌操作の省略及びクリーンベンチを使わない非無菌条件下での培養手法を検討する。
|
成果の内容・特徴 | - 今回開発した簡易殺菌法は、培地固化剤(ゲルライト)が固まる直前(約60℃)に次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加する(加用法)、あるいは培養組織の移植後に培地表面に噴霧する方法(噴霧法)である。
- 加用法では、同液を有効塩素濃度5あるいは10ppmで培地に加用した後、培養容器に分注する。無風の室内で不定胚を移植後、アルミホイルで密封して培養しても発芽率や植物体の生体重への影響が無く、雑菌の発生も認められない(表1)。
- 加用法による培地の簡易殺菌は、オートクレーブの使用が困難な大型培養容器の使用が可能となり、培地の分注、移植操作等が簡素化できる(表2)。
- 噴霧法では、有効塩素濃度50ppmに調整した同液を不定胚移植後の培地表面に噴霧する。この手法で培養しても発芽率や植物体の生体重に影響がなく、雑菌の発生も認められない(表3)。
- これらの培地殺菌操作の省略により、アスパラガス1苗当りの生産コストが従来の方法 (1苗当り62円)より、10円程度安くなる。
|
成果の活用面・留意点 | 簡易殺菌培養法を他の作物に応用する場合は、培養組織や幼植物体に影響の無い塩素濃度の検討が必要である。
|
具体的データ |
表1 |
|
表2 |
|
表3 |
|
予算区分 | 県単 |
研究期間 | 1997~1997 |
研究担当者 | 甲村浩之、梁川正(京都教育大学) |
発表論文 | An efficient micropropagation system using disinfectantincorporated medium and film culture vessel for in vitro plantregeneration of asparagus. Proceeding of 9th Asparagus Symposiumin USA、Acta Horticulturae、1997(印刷中) |
発行年度 | 1997 |
収録データベース | 研究成果情報 |