タイトル | 大豆作付け前の湛水処理によるダイズ白絹病の防除 |
要約 | 転換畑の大豆作では,播種前1か月間湛水処理により白絹病の発生を顕著に抑制できる。 |
担当機関 | 中国農業試験場 地域基盤研究部 上席研究官 |
連絡先 | 0849-23-4100 |
区分(部会名) | 中国農業 |
専門 | 作物病害 |
研究対象 | 豆類 |
分類 | 指導 |
背景・ねらい | ダイズ白絹病は西南暖地の転作畑を中心に恒常的に発生し,大豆の安定生産を著しく阻害している。そこで,西南暖地の春先の比較的高い地温条件を利用して,大豆播種前に短期間の湛水処理を行い,残存有機物の分解や白絹病菌の不活性化など,転換畑の湛水機能を利用した本病の耕種的制御法を開発する。
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成果の内容・特徴 | - 試験は白絹病菌菌核を接種した圃場で行い,湛水処理期間中の地温(探さ5~10cm)は,おおよそ3月中旬:約15℃,4月中旬:約20℃,5月中旬:約25℃であった。
- 大豆播種(6月下旬)前,1か月間湛水処理を行うことにより苗立率が向上するとともに,ダイズ白絹病の発生が著しく減少する(図1,2)。
- 白絹病の抑制効果は,湛水前に未熟有機物を鋤き込まないかあるいは湛水期間中に腐敗するヘアリーべッチなどを鋤き込んだ場合に高く,麦稈,青刈りえん麦など湛水期間中に腐敗し難い未熟有機物を鋤き込んだ場合にはやや劣る(図2)。
- 湛水処理は,地温の低い3,4月(播種2,3か月前)に行っても5月中旬頃の処理と同様に高い効果がある(図3)。
- 湛水期間が15日間では白絹病の抑制効果はほとんどない(図4)。
- 湛水土壌中に埋め込んだ(深さ5~10cm)白絹病菌の乾燥菌核は15日後では数%から30%生存しているが,1か月後にはほとんどが腐敗し死滅する(表1)。
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成果の活用面・留意点 | - 常時湛水しておく必要はない。田面が乾操しないように適時水を入れる。
- 湛水処理は比較的地温の低い時期でも効果が高いため,近畿中国地域の中山間地など播種前の地温が上昇し難しい地域においても効果があるものと考える。
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具体的データ |
図1 |
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図3 |
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図4 |
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表1 |
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予算区分 | 新用途畑作 |
研究期間 | 1998~1998 |
研究担当者 | 山本孝し、折原詳子(退) |
発表論文 | なし |
発行年度 | 1998 |
収録データベース | 研究成果情報 |