消費者への直接販売を組み込んだ大規模柑橘作農家の販売行動の有利性

消費者への直接販売を組み込んだ大規模柑橘作農家の販売行動の有利性

タイトル消費者への直接販売を組み込んだ大規模柑橘作農家の販売行動の有利性
要約柑橘作農家の販売行動について、その経済性(費用・便益)を比較すると、消費者への直接販売が他の販売行動よりも有利である。また、価格変動リスクについても、消費者への直接販売が共同販売よりも低い。柑橘作農家は、生産量の一部を消費者への直接販売に仕向けることにより、収益性の向上と安定を期待できる。
キーワード柑橘作、共同販売、直接販売、費用・便益、価格変動、リスク
担当機関(独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター 経営計画部 経営設計研究室
連絡先029-838-8414 / matsushi@affrc.go.jp / matsushi@affrc.go.jp
区分(部会名)共通基盤
分類行政、参考
背景・ねらい従来、柑橘作では、手作業を主とする技術特性を背景とした経営規模の零細さのために、産地ブランド確立等、販売力の強化を目的とした共同販売が中心であった。ところが、長引く市場価格低迷への対応方策の一つとして、近年、生産量の一部を相対的に価格条件の有利な個人販売(消費者、小売・流通業者等への直接販売)に仕向けることにより、収益性の向上を図ろうとする農家が増加している。そこで、大規模柑橘作農家を対象に販売行動別の費用・便益を数量的に評価し、その経済性を比較する。また、販売行動別の価格変動を数量的に評価し、そのリスクの程度を比較する。
成果の内容・特徴1.
柑橘作経営を早生温州・普通温州・中晩柑の3品種の複合経営として捉え、家族労働費を含む生産・出荷経費の総計である費用合計を費用関数モデルにより把握する。このモデルの推定結果から、粗収益を1単位(1円)増加させるために必要な費用(限界費用)を算出し、販売行動間で比較すると次のようになる(表1)。
(1)
農協・出荷組織等への共同販売を販売代金1位とする販売行動では、いずれも限界費用がその便益(1円)を上回っている。よって、これらの販売行動については、現状の行動が経済合理的であるとはいえない。
(2)
市場等への直接販売を販売代金1位とする販売行動では、限界費用が1を上回っている。つまり、この販売行動は、現状の行動が経済合理的であるとはいえない。
(3)
消費者への直接販売を販売代金1位とする販売行動では、限界費用が1を下回っている。よって、この販売行動は、他の行動よりも経済的に有利であると評価できる。
2.
柑橘の販売価格について、共同販売(農協・出荷組織等への販売行動)・個人販売(消費者への直接販売)の単価をそれぞれ卸売価格・小売価格として捉え、その年間変動(分散)を計測する。この結果を比較すると、小売価格の年間変動は卸売価格を大きく下回っている(表2)。つまり、価格変動リスクの観点からも、消費者への直接販売は共同販売よりも経済的に有利であると評価できる。
3.
他方、一般に、販売に関する諸作業への労働投入、顧客発見・管理にかかる費用等を考慮すると、農家が全生産量を消費者への直接販売に仕向けることは、現実的でない。
よって、生産量の一部を消費者への直接販売に仕向けること、つまり、販売先の多様化が、費用・便益(収益性の向上)、価格変動リスク(収益性の安定)の両面から、柑橘作農家にとって経済的に有利な行動であると評価できる。
成果の活用面・留意点1.
行政、普及機関等が、農家の出荷計画等の市場対応方策を策定する際に活用できる。
2.
本情報は、認定農業者を対象とした農林漁業金融公庫「平成11年度貸付先経営動向把握調査」を基礎データとしている。つまり、高い水準の技術を装備し、積極的な経営を展開している大規模農家の行動を分析したものであることに留意する必要がある。
具体的データ
図表
図表
予算区分交付金
研究期間2001~2002
研究担当者松下秀介、南石晃明
発表論文松下(2002)フードシステム研究 9(1):2-17
発行年度2002
収録データベース研究成果情報

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