筑波・稲敷台地上の黒ボク土畑深層における硝酸性窒素の吸着

筑波・稲敷台地上の黒ボク土畑深層における硝酸性窒素の吸着

タイトル筑波・稲敷台地上の黒ボク土畑深層における硝酸性窒素の吸着
要約深層の陰イオン交換容量が約50 mmolc kg-1と高い黒ボク土畑では、各種資材を10年連用すると、化学肥料区では施用窒素の約5割、豚ぷん堆肥区では約1/4に相当する1800∼2300 kg ha-1の硝酸性窒素が深さ4.5 mまでに蓄積する。2.5 m付近では硫酸イオン含有量と土壌pHが低いため、硝酸性窒素吸着量が多い。
キーワード黒ボク土、硝酸性窒素、溶脱、陰イオン交換、速効性肥料、被覆尿素、豚ぷん堆肥
担当機関(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター 土壌肥料部 水質保全研究室
連絡先029-838-8829 / mun@affrc.go.jp / mun@affrc.go.jp
区分(部会名)共通基盤
区分(部会名)関東東海北陸農業
分類科学、参考
背景・ねらい 黒ボク深層土は陰イオン交換容量が高いことが知られており、野菜畑から溶脱した硝酸性窒素(NO3-N)の地下水への流入が緩衝されることが期待される。そこで本研究では、各種資材を10年間連用した黒ボク土畑深層における土壌および土壌溶液NO3-Nの鉛直分布を調査し、各資材由来窒素(N)の長期的収支を解析する。
成果の内容・特徴1.
筑波・稲敷台地上にある淡色黒ボク土畑圃場(谷和原;年平均降水量1257 mm)に速効性肥料、被覆尿素、豚ぷん堆肥を連用してスイートコーン(5∼8月)-ハクサイ(またはキャベツ、9∼12月)を栽培したところ、連用10年目トウモロコシ作跡では、深さ1 mの土壌溶液NO3-N濃度に資材間差は認められなかった。また、速効性肥料区の土壌溶液NO3-N濃度は深層ほど低下した(表1)。
2.
同時に深さ4.5 mまでの土壌NO3-N含有量を調査したところ、資材の種類によらず、深さ3 mにまで影響がみられ、深さ1 m強に120 mg kg-1、2.5 m付近に150∼220 mg kg-1の高濃度ピークが認められた(図1)。作土以外の陰イオン交換容量は約50 mmolc kg-1と高く(図2)、土壌溶液と土壌NO3-Nならびに含水比から求めたNO3-N吸着量は、速効性肥料区の場合、深さ1 mで50 mg kg-1、2 mで121 mg kg-1、2.5 mで182 mg kg-1、3 mで24 mg kg-1であった。
3.
深さ2.5 m付近でNO3-N含有量および吸着量が高い理由として、吸着競合イオンであるSO4含量が上層よりも低く、さらには、土壌pHも上層より低いために高AECが発現したことが考えられる(図3)。
4.
速効性肥料区と被覆尿素区では施用Nの約5割が作物に吸収されず、NO3-Nとして深さ4.5 mまでに大半が蓄積していた。一方、施用N量が化学肥料の2倍である豚ぷん堆肥区では、施用Nの約4割は作土に蓄積しており、3割強が作物吸収され、残りはNO3-Nとして深さ4.5 mまでに存在していた。深さ4.5 mまでのNO3-N 蓄積量は資材の種類によらず1800∼2300 kg ha-1と高く、NO3-Nが地下水に流入するのを緩衝している。
成果の活用面・留意点1.
本成果は、黒ボク地域における地下水硝酸汚染対策のための基礎資料となる。
2.
試験圃場は台地の一番高い地点にあり、周辺からの地下水流入は考えられない。また、深さ4.4 m付近には常総粘土層がある。
3.
黒ボク土深層に吸着したNO3-Nの長期的な動態を明らかにするには、より長期のモニタリング試験が必要である。
具体的データ
表1
図1
図3
図2
予算区分有機農業
研究期間2003~2007
研究担当者前田守弘、太田 健、井原啓貴
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

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