自動給苗ユニットを備えたウリ科野菜用全自動接ぎ木装置

自動給苗ユニットを備えたウリ科野菜用全自動接ぎ木装置

タイトル自動給苗ユニットを備えたウリ科野菜用全自動接ぎ木装置
要約 穂木用と台木用の給苗ユニットを有するウリ科野菜用の全自動接ぎ木装置である。半自動接ぎ木装置(以下「半自動機」)では3名必要であった運転要員を、セルトレイの補給者1名のみにすることができ、半自動機と同程度の作業精度で、より能率的に作業を行う。
キーワード接ぎ木、自動給苗、セルトレイ、ウリ科野菜、接ぎ木成功率、活着率
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター 基礎技術研究部 バイオエンジニアリング研究
連絡先048-654-7000
区分(部会名)共通基盤
分類技術、普及
背景・ねらい 果菜類栽培では接ぎ木苗を購入する農家が増加している。接ぎ木装置(接ぎ木ロボット)は1994年に市販が開始されたが、その大半は苗を手で供給する半自動機であるため、装置の運転には、少なくとも元苗運搬等の補助者1名と装置への苗(穂木および台木)供給者2名の計3名が必要である。苗需要が増加する中、接ぎ木装置の省力効果向上等の改良が要望されている。そこで、構造がシンプルで比較的安価なウリ科野菜用全自動接ぎ木装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. セルトレイから苗を1本ずつ取り出し、苗の切断・接合高さ揃えと子葉の方向揃えを行って、接ぎ木装置に自動供給する給苗ユニットを有する全自動接ぎ木装置である。
  2. 給苗ユニットは穂木用と台木用に分かれ(図1)、穂木用はキュウリとスイカ、台木用はカボチャとユウガオに適応できる。
  3. いずれの給苗ユニットもセルトレイ搬送部と苗取出し搬送部に大別でき、他に共通の操作盤(制御部)を備える(図1)。苗取出し搬送部は図2に示すように、苗の保持ハンド、対象とする苗のみを保持ハンドに分離・誘導するための分草桿、セルトレイ中の苗を地際近傍で切り取るカッタおよび苗を搬送するリニアスライダから構成される。
  4. 苗が栽植されたセルトレイをユニットに装填すると、苗取り出し、苗の高さ揃え、子葉方向揃えおよび半自動機への苗供給が自動で行われる。苗の高さ揃えは、子葉展開基部を基準とし、同部を保持ハンド先端に設けた切り欠きに吊り下げることで行う。この際、胚軸は回動可能な状態で保持される。この状態で保持ハンドを前後に揺動させ、行程端に設けたガイドに子葉を接触させることで、苗の子葉方向揃えを行う(図2)。
  5. 装置の運転は、セルトレイ補給者1名で可能である。
  6. 接ぎ木成功率は、キュウリおよびスイカのいずれも95%以上である。養生・順化終了後の活着率はいずれも90%を超え、半自動機と同程度の作業精度を有している(表1)。
  7. 正味給苗作業能率は830本/h以上、接ぎ木を含めた接合作業能率は約810本/h(128穴セルトレイ、欠株率3%程度の場合)である。スイカで半自動機による手給苗作業と比較した場合、1人あたり接合作業能率は約3倍、接合後の挿し木までを含めた1人あたり接ぎ木作業能率は約2倍である。キュウリでの手接ぎ木(片葉切断接ぎ)との比較では、1人あたり接合作業能率は5.4倍、1人あたり接ぎ木作業能率は3.4倍である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 2009年度に市販化する予定である。
  2. 適応できるセルトレイは、35mm角72穴または標準規格128穴であり、ユニットへの装填時にはアンダートレイが必要である。
  3. 胚軸長が、穂木では40mm未満、台木では45mm未満の苗は使用できない。また、苗の胚軸長の変動範囲は、穂木、台木ともに30mm以内で、曲がりの少ない苗を使用することが望まれる。

具体的データ
図1 ウリ科野菜用全自動接ぎ木装置(左:平面図、右:全景)
図2 苗取出し搬送部の主要部(台木用)
表1 作業精度
表2 作業能率
予算区分経常、緊プロ
研究期間2004~2007
研究担当者井関農機(株)、後藤隆志、山下貴史、重松健太、小倉昭男、小野木亮、小林研、石綿陽子、飯田有宣
特許出願(公開)1)小林ら (2006) 農機誌、68(6):117-1232)小倉ら「接木苗製造装置」特許公開2006-238805
特許出願(公開)3)小林ら「接木苗製造装置」特許公開2006-238806
発行年度2008
収録データベース研究成果情報

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