スギノアカネトラカミキリ防除のための成虫誘引物質の利用

スギノアカネトラカミキリ防除のための成虫誘引物質の利用

タイトルスギノアカネトラカミキリ防除のための成虫誘引物質の利用
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらいスギノアカネトラカミキリAnaglyptus subfasciatusは,幼虫のスギ・ヒノキ木部に対する食害とそれに伴う腐朽の被害が材内に蓄積して,経済的価値を低下させることから,早急な被害防止の必要な材質劣化害虫に数えられている。本種の成虫は雌雄ともにスギ・ヒノキの林内,林縁部に咲くコゴメウツギ等の白~黄白色の小花に誘引される。この訪花習性を利用して,最も誘引性の強い色のトラップと匂い誘引物質を使った誘殺法が開発されてきた(主要選集1990,P16-17)。揮発性のメチルフェニルアセテートを固形化剤に吸着させ,これを黄色のトラップと組み合わせて,林内の本種の生活空間に近い比較的高い場所に設置することが効果が高いという結論が出ている。それを受けて,本方法の利用法の検討を行った
成果の内容・特徴スギノアカネトラカミキリAnaglyptus subfasciatusは,幼虫のスギ・ヒノキ木部に対する食害とそれに伴う腐朽の被害が材内に蓄積して,経済的価値を低下させることから,早急な被害防止の必要な材質劣化害虫に数えられている。本種の成虫は雌雄ともにスギ・ヒノキの林内,林縁部に咲くコゴメウツギ等の白~黄白色の小花に誘引される。この訪花習性を利用して,最も誘引性の強い色のトラップと匂い誘引物質を使った誘殺法が開発されてきた(主要成果選集1990,P16-17)。揮発性のメチルフェニルアセテートを固形化剤に吸着させ,これを黄色のトラップと組み合わせて,林内の本種の生活空間に近い比較的高い場所に設置することが効果が高いという結論が出ている。それを受けて,本方法の利用法の検討を行った
1990~1992年の3年間,岩手県内のスギ造林地の計8林分を試験地として,最適捕獲法の開発,それをもとにしたモニタリングへの利用の可能性,大量誘殺による密度軽減効果の試験を行った。誘引剤の面形化により2か月間安定した揮散が得られることは明らかにされていたが,今回の野外における誘段数の時間的経過からみても,成虫の出現の直前に設置すれば1シーズン通して有効なことが分かった。本誘引剤は地況,林況の異なる林分でも強い誘引力が確認されていることから,生息確認モニタリング,成虫発生時期確認手段として十分に利用できる。
雌は雄の約3倍捕獲され,初~中期に捕獲された個体は産卵可能な卵巣状態である(表1)ことから,捕獲によって総産卵数は減らせることが明らかとなった。しかし,定量的評価では捕獲率は生息数の10~190%とばらつきの多い結果となった。その原因として二つの要因があげられた。一つは本種の飛翔行動は天候,林相等にデリケートに反応する点である。好天候でないと飛ばないので,天候が不順なとき後期に捕獲数は多くなる例が見られた(図1)。また,下層植生がトラップの邪魔をして,捕獲数が少なくなると思われる場合があった。もう一つは本種の生息密度の推定法の問題点である。従来常識とされてきた生態的知見一材内の幼虫期間は2年で,成虫が枯れ枝からのみ脱出する。成虫の移動距離は短い一が実際と異なるためとみられる。このことから,より正確な定量的評価のためには基礎的な生態調査を再度行う必要があることが明らかになった。

具体的データ
表1
図1
研究担当者森林生物部昆虫管理研究室 吉田成章、北島 博
発行年度1992
収録データベース研究成果情報

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