スギの凍裂について

スギの凍裂について

タイトルスギの凍裂について
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい厳寒期に樹木の幹が大きな音とともに縦に割れる現象は,北海道のトドマツでよく知られており,「凍裂」と呼ばれている。そのため,凍裂とはトドマツに特有なものと考えられていたが,近年になりスギにも発生していることが報告されるようになってきた。しかし,スギの凍裂については具体的にはほとんど知られていなかったので,調査・研究を進めた。ここでは,凍裂が発生しているスギ樹幹の外部及び内部の状態を紹介する
成果の内容・特徴スギの凍裂は40年生半ば頃から発生が始まる。凍裂が発生した樹幹表面には縦に走る割れが地際部から2~3m上方にかけて出現する(表)。その結果,割れ付近の形成層活動は局部的に活発になり,樹幹表面には割れに沿った山脈状の盛り上がりが出現する。これがいわゆる「へびさがり」であり(口絵写真),凍裂木であることの証拠になる。なお,樹幹には凍裂が1か所発生していることがほとんどであったが,まれには複数発生していた(最高4か所)。946か所の凍裂について調査したところ,その発生方位は南方側に多い傾向にあった(図1)。ただし,傾斜地では傾斜下側(谷側)に多く発生していた。
凍裂の割れは樹幹表面だけでなく,その中心に向かっても伸展している。この割れに沿って見ていくと,ある年輪から局部的な肥大が始まっている(写真矢印)。すなわち,この年輪が形成される前の冬に凍裂が初めて発生したことが読みとれる。なお,凍裂木には中心に向かう割れ以外にも年輪に沿った割れなど大小多数の割れが発生している(図2)。また,凍裂木の含水率分布も極めて特徴的である(図3)。健全木の心材含水率は辺材に比べ著しく低いにも拘らず,凍裂部位では,心材の含水率は辺材とほとんど同程度,あるいはそれ以上に高い。
以上のように,スギの凍裂は壮齢木の,しかも最も良質材が得られる樹幹下部に発生し,そのうえ材部には多数の割れがあり,さらに含水率分布も異常である。このため,凍裂部から良質材を得ることは難しく,スギに凍裂が発生することは林業的に極めて深刻な問題である。

具体的データ
写真
図1
図2
図3
研究担当者東北支所育林部 今川一志
発行年度1992
収録データベース研究成果情報

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