スギ黒点枝枯病の発生状態

スギ黒点枝枯病の発生状態

タイトルスギ黒点枝枯病の発生状態
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらいスギ黒点枝枯病は全国的に分布しているスギ重要病害の一つである。この病気によってスギ樹が枯死することはごくまれであるが,いったん発病すると慢性的に枝枯れを起こし,成長への影響が大きい。本病に関する研究は乏しく,伝染に関与する胞子,病原菌の生活史及び病理学的諸性質など重要な研究が未解明のまま残されてきた。本研究では.特に病原菌の確定,その生活史,スギ組織への侵入様式及び感染機構を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴病原菌の検出及び伝播に関与する胞子の探索を行った結果,5月下旬~6月上旬にかけて,花粉が飛散した後の雄花基部より病原菌の菌糸体である白色菌糸膜が出現し,初期感染が認められた。初期病徴の出現はほとんどが雄花付着枝であることから,初期感染は雄花であると推定され,接種試験によってそれが証明された。やがて菌糸膜は気温の上昇に伴い健全緑枝上を前進しながら,側枝から主枝へと拡大していく(写真1)。ところが,7月~8月の高温期になると菌糸膜が突如として視界から消えうせ(肉眼的には消失したようにみえる),菌糸膜が存在した部位に赤褐色の病斑が現れる。病斑が枝を一周すると本病特有の枝枯症状が現れる。この現象を組織解剖学的に観察すると,菌糸はスギ組織の気孔から容易に侵入し,また,クチクラ層を貫通して侵入するものも確認された(写真2)。以上のことから,白色菌糸膜は病斑の進展と病害発生の拡大に大きく関与していることが明らかとなった(図1)。
本病病原菌は長い間不詳とされてきた。しかし,秋季に病斑上には不完全世代の分生胞子(3~4×2~3μm)が形成される(写真3)。胞子の形態学的特徴から,Gloeosporidina属菌の未記録種と認め,Gloeosporidina cryptomeriae Kubonoと命名記載した(写真4)。しかしながら,本胞子は,常法では発芽が困難で未だ確認されていない。現在,発芽方法の確立と完全世代(子のう胞子世代)を探索中である。

具体的データ
写真1
写真2
図1
写真3
写真4
研究担当者佐橋憲生、東北支所樹病研究室  窪野高徳
発行年度1992
収録データベース研究成果情報

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