チークの穿孔性害虫チークビーホールボーラーの生命表研究

チークの穿孔性害虫チークビーホールボーラーの生命表研究

タイトルチークの穿孔性害虫チークビーホールボーラーの生命表研究
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらいチークTectona grandisは熱帯を代表する有用樹である。タイ国では1945にチークの大規模造林計画が始って以来,造林最優先種として,天然分布地の北部を中心に造林が進められてきた。現在,その面積は17万ヘクタールに達し,全造林面積の約30%を占めるまでになっている。しかし,これらの造林地では穿孔性害虫チークビーホールボーラー(ボクトウガ科,Xyleutes ceramicus)による著しい材質劣化(写真)が発生し,造林上の重大な障害となっている。この研究では生命表の解析を通じて本害虫発生の要因を解明することを目的とした。
成果の内容・特徴激害地と微害地で生命表(表1)を作成し,死亡過程がどのように異なるか比較した。さらに,環境の異なる2林分で生命表を作成し,これら4枚の表を元に基本要因分析を行い,羽化成虫個体群の変動を決定する要因を推定した。
雌成虫(写真)の産卵能力は極めて高く,平均l2,500卵を粗皮下に数千卵から成る卵塊に分けて産下する。卵の死亡要因を明らかにするため,40卵塊を幹上に放し調査したところ,全死亡91.2%の内83.5%が主に蟻類による捕食で死亡し,蟻類が卵期の重要な天敵であることが分かった(表2)。激害地と微害地の比較では,捕食による卵の死亡率は微害地で82.l%であったのに対し,激害地では著しく低く17.9%に過ぎなかった。孵化幼虫期の死亡はどちらも約99%であったが,樹皮内に生息する2-3齢期の死亡率は,微害地で96.8%,激害地で57.5%と大きな違いが見られた。この時期の死亡は,主にTetreponera属の探索型蟻類の捕食によるとみられた。
初期幼虫密度,死亡率と成虫密度の関係では,密度よりも死亡が個体群の変動を決定していることが結論として得られた。次に死亡の内容を細分して解析してみると,卵期と2-3齢期の死亡が全死亡と平行して変動し,これらの時期の死亡が本害虫の変動を決定する上で特に重要であることが判明した(図1)。この結果から,天敵類の活動の強弱が被害の程度と結びついていると推察されるが,実際に捕食性蟻類の種類別出現頻度を調査してみると,激害地では,蟻の探索の見られなかった木は約半数にも上り,微害地に比べ種類・頻度とも低い状態にあった(図2)。今後は,基本要因である蟻類の捕食が激害地ではなぜ弱いのか明らかにする必要があろう。

具体的データ
写真
表1
表2
図1
図2
研究担当者森林生物部昆虫生態研究室 後藤忠男タイ王室林野局 Chaweewan
発行年度1993
収録データベース研究成果情報

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