黒腐病の発生機構の解明

黒腐病の発生機構の解明

タイトル黒腐病の発生機構の解明
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい1970年頃から九州地方において、シイタケほだ木の黒腐病(口絵写真)による被害が発生し宮崎県、大分県の山間部を中心に多大な被害を与えた。本病害の特徴は、ダイダイタケやカワラタケといった栄養競合型の害菌による被害とは異なり、シイタケ菌が接種駒部分より伸張した後、死滅してしまう殺傷型に属することにある。当初、本病害は九州地方にのみ発生するため、発生要因としては温暖な気候が強く関係していると考えられたが、被害は山間部に集中的に発生しており、必ずしも高温による障害とは異なっていた。本研究は、黒腐病の発生に関与している原因菌及び環境要因を探り、本病害の予防や防除等を行うことを目的とした。
成果の内容・特徴シイタケ菌を接種後、4月に試験地に伏せ込んだほだ木を各月毎に回収し、害菌類の分離調査を行ったところ、調査初期の5、6月までは様々な菌が分離されるが、梅雨明けの7月以降からはTrichoderma属菌もしくはバクテリアが優占的に分離される傾向があった(図1)。しかし、Trichoderma属菌及びHypocrea属菌を接種した試験においては、本病害の再現は困難であった(図2)。また、シトネタケ菌及びニマイガワキン菌の接種を行った試験では高い割合で本病害が再現された(表1)。しかし、シトネタケ菌及びニマイガワキン菌はシイタケ菌の伸張を抑えることはあっても、死滅させる能力はもっておらず、これらの菌単独ではシイタケ菌が伸張後死滅している黒腐病の特徴を説明することはできない。以上のことから、本病害はシトネタケ菌等がほだ木内においてシイタケ菌よりも先に菌糸を伸ばし、その後Trichoderma属菌もしくはバクテリアが侵入し被害を与えるといった複数の菌が関与した病害であることが推察された。
Trichoderma属菌の中では、T.harzianumが分離頻度も病原性も高かったが、バクテリアの方は末だ種類を特定するには至っておらず、今後更に調査する必要があると思われる。また、本病害の発生要因として、ほだ木内の水分が過剰であることが考えられたが、発現率と降水量の関係からは相関は観察できなかった。しかし、伏せ込んだほだ木の上部に屋根をとりつけ、雨水がほだ木にあたらないように設定した試験区では本病害の発現が抑えられた(表2)。このことから、ほだ場内での水分管理を行うことで、ある程度本病害を回避することが可能であると思われる。
具体的データ
口絵写真
図1
図2
表1
表2
研究担当者宮崎 和弘(九州支所 特用林産研究室)、砂川 政英(九州支所 特用林産研究室)、谷口 實(生物機能開発部 きのこ科)、角田 光利(生物機能開発部 きのこ育種研究室)
発行年度1995
収録データベース研究成果情報

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