汎針広混交林帯天然林における森林植生と土壌の炭素固定能

汎針広混交林帯天然林における森林植生と土壌の炭素固定能

タイトル汎針広混交林帯天然林における森林植生と土壌の炭素固定能
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい森林生態系による炭素固定能を予測するには、森林植生と森林土壌の炭素固定を明らかにする必要がある。北海道地方では天然林が優占し、森林タイプが多様で、林分の蓄積や成長量、つまり炭素固定能は大きな幅を持つ。また土壌も火山灰の影響を受けたり、泥炭が発達するなど変異が大きい。そこで天然林の主要構成樹種について幹材積を炭素重量へ変換する手法を開発し、特定流域を対象にGISモデルを作成し、森林植生による炭素固定能を推定した。土壌は林野土壌調査をもとに土壌型毎に炭素固定能を推定し、国土数値情報を用いて北海道地方全域の土壌炭素貯留マップを作成した。
成果の内容・特徴北海道の天然林を構成する主要樹種の炭素固定能を評価した。主要樹種の全乾(絶乾)あるいは気乾(含水率15%)比重のデータを収集し、実験式を用いて容積密度に変換した。樹木体内の炭素は樹種によらず概ね50%であるので、幹材積(m3)から容積密度を計算して炭素重量(ton)へ変換した(表1)。炭素密度は概して針葉樹で小さく、広葉樹で大きい傾向があり、トドマツの159ton/m3からアサダの271ton/m3まで相当の開きがある。
  1. 札幌営林所管内、奥定山渓流域(10,819ha)を対象としてGISデータを整備し、炭素分布図を作成した(図1)。GISデータには、森林を針広混交率と蓄積から区分した類型区分図を用いた。類型区分図は、対象流域を空中写真判読により林型に分類して、これをまとめて作成した。また、各類型ごとに現地調査を行い、類型ごとのha当たり針葉樹蓄積、広葉樹蓄積を推定した。これらをもとにha当たり炭素固定能を算出し、GISの属性データとして付加した。これより炭素貯留量を計算した結果、対象流域では280,800ton(ha当たり26ton)の炭素が貯留されていると推定された。
  2. これまで北海道で調査された森林土壌の報告書をもとに、土壌型別に炭素貯留量を集計した。森林土壌の特徴である地表面に堆積した落葉落枝量は、樹種毎に集計した。深さ0~70cm範囲の炭素貯留量は、ha当たり、泥炭土が513tonと最大であり、続いて黒色土(くろぼく土壌)が255ton、最低値は粗粒火山放出未熟土壌の71tonであった。このような土壌全体の貯留量の差は主に下層土の炭素貯留量の違いに依存していた。落葉落枝による炭素貯留量は、針葉樹天然林で17ton、広葉樹林は普通10ton以下であった。
北海道の土壌炭素量分布図を作成した(図2)。黒色土や泥炭が広く分布する道東地域や、落葉落枝が厚く堆積したポドゾル土壌が分布する大雪山周辺の亜高山帯で土壌炭素が多い。一方、樽前山周辺など道央南部は炭素貯留が少ない。北海道全域の平均値は181ton/haであり、森林植生に比べ土壌には遙かに多くの炭素が貯留している。
具体的データ
表1
図1
図2
研究担当者佐野 真(北海道支所 天然林管理研究室)、石橋 聡(北海道支所 天然林管理研究室)、高橋 正通(北海道支所 土壌研究室)、真田 悦子(北海道支所 土壌研究室)、白石 則彦(元北海道支所 天然林管理研究室 (現:東京大学))
発行年度1996
収録データベース研究成果情報

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