食菌性ダニ類に対するシイタケの防御機構の解明

食菌性ダニ類に対するシイタケの防御機構の解明

タイトル食菌性ダニ類に対するシイタケの防御機構の解明
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい近年、キノコの菌床栽培が一般に普及したことに伴い、栽培現場からダニの発生に対する問い合わせが急増している。これまでの研究により、食菌性のコナダニ類が栽培キノコや、キノコ病害菌の菌糸を好んで摂食し、増殖することが明らかになった。しかしこれらのダニも、シイタケ菌糸では飼育することができなかった。本研究は、シイタケのダニに対する防御機構を解明することにより、菌床栽培におけるダニ被害の軽減に資することを目的とした。
成果の内容・特徴無気門亜目コナダニ科の3種、ケナガコナダニ、Schwiebea sp. 、Histiogaster sp.の食性を調べた。これらのダニはすべて糸状菌を摂食してよく増殖する食菌性のダニであることが分かった(写真1)。しかし、キノコ病害菌のHypocres nigricans、エノキタケ、シイタケの菌叢上におけるHistiogaster sp.の発育速度を調べたところ、シイタケの菌叢では全く発育が認められなかった(表1)。そこで原因を明らかにするため、Histiogaster sp.の卵をシイタケ菌叢上に置いて詳しく観察した。その結果、卵を置いてから1~3日後には、写真2のようにシイタケ菌糸がダニの卵を覆い尽くすことが分かった。からみついた菌糸をメスで切って卵を取り出しても、卵は全く孵化しなかった。シイタケ菌叢の上に濾紙を置き、さらにダニの卵を置いたときは正常に孵化したことから、シイタケの持つにおいなどの揮発性物質に殺卵作用があるわけではない(表2)。おそらく、菌糸が卵を絞め殺すか、あるいは卵内に侵入して、栄養分を吸収して殺すものと考えられた。さらに、菌叢上で各ステージのダニを個別に飼育したところ、第三若虫の中には次のステージ(成虫)へと発育するものが少数見られたが、幼虫及び第一若虫は、すべて次ステージに発育することなく死亡した(図1A)。このときの死亡曲線は図1Bに示す、同じダニを素寒天培地上で飼育したときの死亡曲線と類似していた。また、シイタケ菌叢上で飼育したダニは糞塊を排泄しなかったことから、ダニはシイタケ菌糸を摂食できないため栄養不足に陥り死亡したか、少数個体しか発育できなかったものと考えられた。

これらの事実から、シイタケ栽培では、栽培容器内で十分に菌叢を蔓延させることができれば、コナダニによる摂食被害を懸念する必要がないことが分かった。またこのようなシイタケ菌糸の性質は、ダニ防除に応用できる可能性があることが分かった。
具体的データ
写真1
表1
写真2
表2
図1
研究担当者岡部 貴美子(九州支所 昆虫研究室)
発行年度1997
収録データベース研究成果情報

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