スギ枝枯菌核病とスギ褐点枝枯病との同根関係の検討

スギ枝枯菌核病とスギ褐点枝枯病との同根関係の検討

タイトルスギ枝枯菌核病とスギ褐点枝枯病との同根関係の検討
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらいスギ枝枯菌核病は、東北地方特有の病気であり、スギの重要な枝枯性病害である。本病の発病機構を解明するには、伝染に関与する病原菌の胞子の発見が不可欠であるが、いまだ見つかっていない。しかしながら、本病の罹病葉上にはスギ褐点枝枯病の分生子が形成される例が多いことから、両病の同根関係が疑われてきた。そこで、これら二つの病気の関係を明らかにし、両病の伝染環の解明と防除指針の作成を研究目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 両病原菌の接種試験による同根関係の検討
    スギ枝枯菌核病菌(Sclerotium sp.)及びスギ褐点枝枯病菌(Scolecosporium sp.)をそれぞれ有傷、無傷各20個のスギ芽(3年生苗)に接種し、18℃、湿度100%の接種箱で発病の経過を観察した。その結果、Sclerotium sp.の接種では、接種後20日までに、有傷、無傷にかかわらず合計5か所の接種部位からスギ枝枯菌核病菌の菌糸束(写真1)が出現した。さらにScolecosporium sp.の接種においても、接種後15日目までに無傷接種部位の1か所から菌糸束が出現した。また、Scolecosporium sp.の胞子懸濁液を40か所の有傷のスギ芽に接種したところ、1か所から、Sclerotium sp.の菌糸束が出現した。どちらの菌を接種しても、Sclerotium sp.の菌糸束が出現したことから、二つの病気が同根関係にある可能性が高まった。
  2. 両病原菌の培養性質の比較による同根関係の検討
    各病原菌をPDA、コーンミール寒天培地(Corn)、麦芽エキス寒天培地(Malt)、麦芽・酵母エキス寒天培地(Yeast)において4、10、15、20、25、30℃で培養し、培養特性を比較した(図1)。菌糸伸展長は、どちらの菌もPDA、Corn培地では15℃、Malt、Yeast培地では20℃で最もよく成長し、25℃ではほとんど成長しなかった。また、どの培地においても30℃では全く伸長しなかったが4℃では菌糸が伸長した。同一の温度、培地における各菌間の伸展長の差は、同一の菌間のばらつきの範囲に収まるものであった。これらの結果から、二つの菌の培養温度特性は一致していると考えられた。培養菌叢は、同じ培地上ではどちらの菌にも同様の菌叢特徴が見られた。Corn培地では透明色で菌叢が薄く、Yeast培地では白色で気中菌糸がよく発達した。Malt培地では緑色、PDA培地では白色と緑色が交ざった菌叢を呈した。

これら1、2の試験結果から、スギ枝枯菌核病とスギ褐点枝枯病の病原菌は同一である可能性が示唆された。
具体的データ
写真1
図1
研究担当者宮沢 有希子(前東北支所 樹病研究室)、窪野 高徳(東北支所 樹病研究室)、佐橋 憲生(東北支所 樹病研究室)
発行年度1998
収録データベース研究成果情報

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