土壌動物を用いた家畜排泄物堆肥化促進接術の開発

土壌動物を用いた家畜排泄物堆肥化促進接術の開発

タイトル土壌動物を用いた家畜排泄物堆肥化促進接術の開発
要約家畜排泄物を肥料化するための副資材としてウッドチップを用い、チップの分解促進のために土壌動物を導入すると、短期間に良質の堆肥が出来る。堆肥化手順を図示し、消臭効果や肥料としての有効性も確認した。
担当機関森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい家畜排泄物は悪臭や水質汚濁などの原因となり、畜産経営の大規模化に伴って処理しきれなくなりつつある。これを堆肥化するには水分調節のための副資材を必要とするが、従来使われてきたオガクズや稲わら等が品不足となったことも事態を悪化させる一因となっている。一方、緑化樹の剪定枝葉や間伐材等の木質物は分解しにくいことから、利用されずに廃棄されることが多い。そこで、木質物を副資材として家畜排泄物の水分を調節し、腐植食性土壌動物を導入して木質物の分解を促進することにより、安価で良質な堆肥製造技術を開発することを目的として研究を行った。
成果の内容・特徴牛糞と木質物を混合して林の中に放置すると、カブトムシの幼虫、ワラジムシ、オカダンゴムシ、ヤケヤスデ、シマミミズなどが集まってくる。これを大量に飼育・増殖させるに当たり、牛糞は排泄後2週間以上経過したものが虫の生存率が高く、木質物は広葉樹のチップが好まれた。

牛糞の含水率は約80%である。これにウッドチップを天日乾燥して含水率を約5%に落としたものを容積比で1:1の割合で混合すれば、含水率は65~70%になる。混合物の温度は5日日に65℃に上昇して醗酵が進み、アンモニア臭は10日後に2.5ppmに、20日後に0.5ppm以下に減少した。このことから、ウッドチップは水分調節材として有効であり、また、優れた消臭効果があることが明らかになった。

牛糞、チップ混合物を1か月間、7~10日に1回切り返しを行い、発熱醗酵を終えてからカブトムシ幼虫を導入すると、シマミミズも増殖し、堆肥体積の減少速度が促進された。牛糞を使わずにウッドチップだけで堆肥にする場合、3か月経過してもコマツナの発育障害がみられたが、牛糞を混合すると2か月目から肥料効果を示した(写真1)。堆肥枠周囲のサクラも牛糞チップ混合物に多くの根を伸ばしたことから、樹木の発根促進にも役立つことが明らかになった。また牛糞チップ混合物で高密度でヤスデやシマミミズを飼育して得られた虫糞混合物は、牛糞+ナラチップ堆肥より更に優れた肥料効果を示すことから(写真2)、土壌動物を導入することは肥料成分の増加にも役立つことが確認された。

以上の結果をふまえ、家畜排泄物処理技術の一つとして、ウッドチップを副資材とし、土壌動物を導入した堆肥製造法を開発した。図1の手順に従って堆肥を製造すれば、悪臭の低減、有機性廃棄物の有効利用、良質堆肥の供給、ペット用品(カブトムシ、釣り餌用ミミズ)の産出など、多くのメリットが予想されるので、リサイクル社会にマッチした手法である。

なお、本研究は農林水産技術会議総合的開発研究「環境保全のための家畜排泄物高度処理・利用技術の確立」による。
具体的データ
写真1
写真2
図1
研究担当者新島 溪子(多摩森林科学園 森林生物研究室)、長谷川 元洋(森林生物部 昆虫生態研究室)
発行年度1999
収録データベース研究成果情報

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