木の揺れを計る

木の揺れを計る

タイトル木の揺れを計る
要約強風で林木の幹が揺れるときの揺れ回数を測定する測器を開発した。本機の開発により林木の風に対する抵抗力を客観的に評価することができる。この測器のデータは風害に強い木を作るための枝打ちや間伐の改善のために利用できる。
担当機関(独)森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい現在、日本の人工造林地面積は1,000万ha以上になっていますが、それらの林の中には手入れが十分に行われずに、木が混みすぎて幹の細い林木が多くなり、風や雪などによる気象害に弱い森林も増えています。
手入れ不足の森林に人手をかけて枝打ち、除伐、間伐などの保育作業を行うと良い材質の木材を生産することができます。また、そうすることによって、健全な森林に導くことができます。しかし、その作業の手順は簡単ではなく、混んだ森林で一度に多くの本数を切ると、林内に残された木が台風で大きな被害を受けることがあります。その被害を防ぐためには、施業をした場合の個々の樹木の揺れを同時に複数の場所で測定し、揺れにくい樹木の配置や樹形をさがす必要があります。
本研究は、間伐や枝打ち、植栽密度などと風害の起こりやすさの関係を明らかにするために必要な、樹木の揺れを簡便安価に測定するための装置の開発を目的としました。これは、風害につよい森作りに大いに役立つものと期待できます。
成果の内容・特徴

樹幹動揺計のしくみと測定方法

樹幹動揺計は永久磁石の振り子が傾斜17度に傾いたときにマグネットスイッチがONとなり、デジタル計数機のカウントが1加算される構造になっています。振り子は1方向に往復運動するので同じ高さに2個付けると2方向の揺れを同時に測定することができます。
樹幹動揺計は、ある任意の測定期間中の揺れ回数の合計値を表示するだけなので、操作も容易であり、非常に安価に制作できます。そのため同時に多数の樹木に設置をすることにより、その林分の風の強さや、個々の樹木の風に対する特性が解析できます。デジタル計数機の数値は0~10,000まで加算されますが、リセットボタンで0に戻ります。設置は針金、紐などで観測木の幹に縛り付けるかピンで固定します。
樹幹動揺計の林内での試験観測は写真1のような樹冠状態(本数間伐率19%)の人工林で行いました。林齢29年、測定木の平均樹高14.3m、平均胸高直径21.5cm、枝下高11m、地上から10mの高さの平均直径15.1cmでした。
樹幹動揺計は写真2のような取り付け方で地上10mの位置の幹に固定しました。

測定結果

測定木は3本で樹種はスギです。NO.1とNO.2の幹は1.5m離れています。NO.2とNO.3の幹の距離は1.6m離れています。3本のスギはそれぞれ横1列に並んでおり、隣り合った木の枝先は写真1のように触れ合う程度に接近しています。この混んだ林で、図1のような幹の揺れ回数のデータが得られました。もっとも揺れていたのはスギNO.3でほかの観測木の10倍以上の揺れ回数のときがありました。この林の斜面は南向きの緩斜面であるため南よりの風向の時に風当たりが強い木がよく揺れていることが判明しました。さらに、隣り合って数メートルしか離れていない木でもほとんど揺れていない木のあることが分かり、同じ林齢の木でも木の高さ、幹の太さ、下枝までの高さ、枝の張りぐあい、葉の量などの違いで幹の揺れ回数にも大差の出ることが分かりました。
従来、枝打ち、除伐、間伐などが耐風性にどのような影響を与えるのか実証するデータがありませんでしたが、本研究において開発した樹幹動揺計を使えば、一時に多数の幹についての揺れ回数を測定できます。この揺れ回数という指標を使えば新たな面的な解析が可能になり、今後の風害対策のための具体的な施業技術の開発に役立つと考えられます。

本成果は特許申請中です。
具体的データ
写真1
写真2
図1
研究担当者吉武 孝(気象環境研究領域 気象害・防災林研究室)
発行年度2003
収録データベース研究成果情報

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