森林セラピー効果を初めて生理的手法で解明した

森林セラピー効果を初めて生理的手法で解明した

タイトル森林セラピー効果を初めて生理的手法で解明した
要約森林セラピー効果を世界で始めて生理的手法で解明しました。森林浴によって、脳(前頭前野)活動が鎮静化し、ストレスホルモン濃度が低下し、血圧も下がり、生体が生理的にリラックスすることが分かりました。
担当機関(独)森林総合研究所
区分(部会名)森林
背景・ねらい「森林浴」という言葉は1982年に林野庁によって提唱されました。現代のストレス社会において、そのセラピー効果に国民の期待が集まっていますが、効果に関する生理データはほとんどありません。しかし、ここ1~2年の急速な生理的評価技術の進歩を受け、データが蓄積されつつあります。本研究の目的は、森林セラピー効果を森林浴実験および実験室実験から生理的手法で明らかにすることです。
成果の内容・特徴

森林浴実験

千葉県立清和県民の森および千葉駅前において、被験者12名を使って実施しました。近赤外分光法*を用いて前頭前野*の活動を測定したところ、森林浴によって鎮静化(図・左)することがわかりました。森林内における前頭前野の絶対値濃度の計測は世界で初めて行われたものです。また、ストレスホルモン濃度(図・中)も、血圧も低下しており、体全体がリラックスしていました。

実験室実験

森林風景、せせらぎ音、木の香り等の感覚ごとの刺激によるリラックス効果を調べました。森林風景においては、血圧の低下(図・右)ならびに前頭前野の活動の鎮静化が認められました。小川のせせらぎ音、木の香りにおいても生体がリラックスすることがわかりました。

成果の活用

このように、森林のセラピー効果はフィールド実験においても室内実験においても認められました。
昨年、林野庁による「森林セラピー基地」構想が発表され、今春、全国の31カ所がその候補地になっています。4月以降、森林総合研究所による生理評価実験が実施されます。各「森林セラピー基地」におけるセラピー効果が明らかにされることにより、国民の森林利用が新たな観点から活発化すると考えられます。さらに本構想は厚生労働省の参加も得ており、予防医学的な見地から医療費の削減に繋がることが期待されています。

本研究は、農林水産技術会議受託費「森林系環境要素がもたらす人の生理的効果の解明」および共同研究「光を用いた脳機能計測による人の状態の評価(浜松ホトニクス(株))」による成果です。

なお、本成果の生理的効果の測定と評価法は、特許出願中です。

*近赤外分光法;脳波に代わり、ここ数年、急速に進歩してきた近赤外光を使った脳活動測定法。脳に酸素を供給する血液の状態を1秒ごとに測定することにより、リアルタイムで脳の活動状態を知ることが出来ます。
*前頭前野;人間の脳の中で高次機能を担っている部分。例えば、暗算等によって活動します。リラックスしたときには、その活動が沈静化します。
具体的データ
研究担当者宮崎 良文(樹木化学研究領域 生理活性担当チーム)、朴 範鎮(樹木化学研究領域 生理活性担当チーム)、恒次 祐子(構造利用研究領域 木質構造居住環境研究室)、香川 隆英(森林管理研究領域 環境計画研究室)、綛谷 珠美(千葉県森林研究センター)
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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