草生リンゴ園における窒素の適量施肥による土壌悪化の軽減

草生リンゴ園における窒素の適量施肥による土壌悪化の軽減

タイトル草生リンゴ園における窒素の適量施肥による土壌悪化の軽減
要約褐色森林土リンゴ園において,pH,置換性石灰などの土壌特性の長期間にわたる変動は,年間の窒素施肥量が5kg/10aを超すと,悪変した。また,リンゴ樹の年間の窒素吸収量は10kg/10aで,この50%が土壌に還元され,また草生は土壌養分の蓄積に貢献した。
担当機関福島県果樹試験場 栽培部 土壌肥料研究室
連絡先0245-42-4191
区分(部会名)果樹
専門肥料
研究対象果樹類
分類指導
背景・ねらい
1960年頃のリンゴ園では,連年にわたる窒素の過剰施肥による土壌悪化が進行し,各地で果実品質の低下や生理障害果の多発を招いた。そこで,マルバカイドウ台紅玉の3年生苗木を1966年に9.0×8.8m(12.6本/10a)の栽植距離で定植し,1972年まで清耕による無施肥の均一栽培を行い,同年にオーチャードグラスの全面草生栽培に切り替えるとともに,翌年から窒素施用量の異なる4区を設定し,窒素施用量の違いが土壌化学性,リンゴ樹の養分吸収量等に及ぼす影響を長期にわたって解析した。
成果の内容・特徴
施肥量は,0N区は窒素無施肥,窒素施肥区では1973年から1978年まで樹齢に合わせて増量し,1979年から1N区は5kg,2N区は10kg,4N区は20kg,りん酸と加里は各区共通でそれぞれ5kgと10kg(いずれも10a当たり)とし,毎年3月中下旬に全量を表面施用した。
  1. 0N区,1N区は処理後10年以上経過すると,土壌のpH,置換性石灰・加里が2N区,4N区に比べて高い値を示し,窒素施用量の多い区とくに4N区では低い値を示した。一方,土壌の有機炭素,全窒素は処理区間で大差はなかった(表1)。
  2. 年間数回刈戻すオーチャードグラス茎葉の乾物,及び窒素,りん酸含量等の各合計量は,窒素施用量の多い区ほど多かった。窒素及び加里含量は,0N区では1978年より1983年の方が少なく,窒素無施肥では土壌養分が低下することを示唆した(表2)。
  3. リンゴ樹の年間吸収量は窒素が10kg前後で,この約50%が土壌へ還元された。この他の養分ではりん酸,苦土が10a当たり3kg前後,加里,石灰が11~15kgであり,りん酸以外は0N区より4N区の方が1.1~1.3倍多かった(表3)。
  4. 以上の結果,褐色森林土リンゴ園において,土壌悪化を軽減する窒素の施肥量は5kg/10aであり,この量を超すと多いほど,pH,置換性石灰などの土壌特性は著しく悪変した。
成果の活用面・留意点
供試ほ場と同程度の肥沃度(褐色森林土,砂壌土~埴壌土,有効土層60cm,全窒素0.2%,可給態窒素1mg/100g乾土以上)の園地で適応が可能。
具体的データ
(表1)
(表2)
(表3)
予算区分指定試験
研究期間1994~1995
発表論文リンゴ樹の養分吸収に関する研究,園学要旨,昭60年春,1985.リンゴ園における窒素施用量の差異が土壌の化学性,樹の生育,果実の収量及び品質に及ぼす影響,東北農業研究第46号,
1993.
発行年度1995
収録データベース研究成果情報

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