我が国におけるカンキツかいよう病菌の系統分化

我が国におけるカンキツかいよう病菌の系統分化

タイトル我が国におけるカンキツかいよう病菌の系統分化
要約カンキツかいよう病菌には、オオタチバナ、バンペイユ及びアンセイカンに対して病原力が異なる2つの系統が存在する。これらの系統はERIC配列をプライマーとしたrep-PCRにより識別することができる。
担当機関果樹試験場 カンキツ部 病害研究室
連絡先0957-86-2306
区分(部会名)果樹
専門作物病害
研究対象果樹類
分類研究
背景・ねらいカンキツかいよう病はカンキツ栽培における最重要病害の一つである。本病の病原細菌であるカンキツかいよう病菌(Xanthomonas campestris pv. citri)は広い宿主範囲を有しカンキツ属を含む多くのミカン科植物に感染する。本病原細菌にはこれまで病原性、又は病原力が異なる系統の存在は確認されていなかったが、本細菌の生態並びに病原性発現機構を詳細に解明するためには系統を明らかにする必要があった。
成果の内容・特徴
  1. カンキツかいよう病菌8分離株をオオタチバナ(ブンタン類縁種)及びバンペイユとアンセイカン(ブンタン類)の葉に付傷接種した結果、大型病斑を形成する4株と小型病斑を形成する4株に2分された(図1)。さらに、41分離株を供試してネーブルオレンジとオオタチバナの葉に付傷接種した結果、前者では各株の形成病斑の大きさは正規分布し、株間に違いが認められなかったが、後者では病斑の大小によって2系統に分かれた(図2)。
  2. 本細菌各系統の全DNAに対しLouwsらにより報告されたERIC配列をプライマーとしたrep-PCRを行った結果、強病原力系統でのみ1.8kbのDNA断片が特異的に増幅された(図3)。1.8kb DNA断片の増幅の有無と病原力とは例外なく相関し、本PCR法は本細菌の系統を識別する有効な方法であると考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. 系統分化機構の解析を通じて本細菌の病原性発現機構並びに宿主の本病抵抗性発現機構の解明が期待される。
  2. 本細菌のほ場における生態を詳細に解析することが可能となる。
  3. 本細菌弱病原力系統はオオタチバナ、バンペイユ及びアンセイカンに対し過敏感反応を誘導しない。したがって、本系統がこれらの品種に対する非病原性遺伝子を有している可能性は極めて低いと考えられる。
具体的データ
図1
図2
図3
予算区分バイテク(病原遺伝子)
研究期間1995~2000
研究担当者塩谷 浩、伊藤 伝
発表論文Differentiation in Pathogenicity of Xanthomonas campestris pv. citri (Hasse) Dye Found on Citrus otachibana Hort ex. Tanaka. Abstracts., 7th International Congress of Plant pathology P1.6.1, 1998.
発行年度1999
収録データベース研究成果情報

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