タイトル | ナミハダニ休眠雌成虫を除去する揺動噴射式果実洗浄機 |
要約 | 開発した洗浄機は、果実の凹部に高速気流と微粒子水の混合流を揺動噴射するバッチ式洗浄機である。ナミハダニ休眠雌成虫を除去する打力で隙間なく噴射するため、慣行作業と同等以上にハダニを除去でき、処理能率も高い。 |
キーワード | 揺動噴射式果実洗浄機、輸出用リンゴ、ナミハダニ休眠雌成虫、バッチ式 |
担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 高度作業システム研究チーム(兼:果樹研 果実鮮度保持研究チーム) |
連絡先 | 029-838-8812 / miyamsa@affrc.go.jp / miyamsa@affrc.go.jp |
区分(部会名) | 関東東海北陸農業 |
区分(部会名) | 果樹 |
区分(部会名) | 共通基盤 |
分類 | 技術、参考 |
背景・ねらい | 近年、わが国のリンゴ果実は経済発展が続くアジア諸国への輸出が急増しているが、ハダニ類の付着が植物検疫とともに外観品質で問題になっている。一方、ハダニ類は増殖率が高く、栽培中の薬剤散布で完全に防除することは困難であるため、輸出用果実は一果ずつエアガンを用いた手作業で処理されており多くの時間を要している。そこで、低コストで効率的にナミハダニ雌成虫を除去する洗浄機を開発する。
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成果の内容・特徴 | - 揺動噴射式果実洗浄機は、ナミハダニ雌成虫が生息する果実のこうあ部、ていあ部に圧縮空気の高速気流と微粒化した水の混合流を吹き付けて除去する。作業者がリンゴ果実を台座にセットすると近接スイッチによりエアシリンダで揺動するフレキシブルノズルから混合流が自動噴霧する。リンゴのていあ部とこうあ部のそれぞれに混合流を2秒間噴霧した後、水切り用のエアが凹部に噴射されるとともに、吹き飛ばされたハダニは吸引機で回収される(図1、表1)。
- 混合流は風速が150m/s以上の旋回流であり、果実の凹部には隙間なく噴射されているので、除去が困難な網で覆われている休眠成虫も確実に短時間で吹き飛ばすことができる。混合流の打力は0.5~0.7MPaであり、使用水量は果実1個当たり1.5mLと少なく、処理水の取り扱いが簡単である。吹き飛ばされたハダニは吸引機で回収されるため、他の果実への飛散を避けることができる。
- 本装置は、果実のこうあ部あるいはていあ部表面に生息しているハダニ休眠雌成虫を慣行のエアガンによる手作業と同等以上の効率で除去でき、処理能率は慣行作業の1.8倍と高い(表2)。
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成果の活用面・留意点 | - 個別や比較的小さい共同選別施設に適応し、輸出用果実のハダニ除去装置として使用できる。構造が簡単で従来の手作業に比べて能率が高いため、果実出荷調製費の削減に貢献できる。
- リンゴ果実の果心部に生息しているナミハダニ休眠雌成虫は除去できない。
- 圧縮空気の供給源として空気吐出量150L/min、圧力0.8MPa以上の仕様を持つ無給油式のコンプレッサが必要である。
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具体的データ |
図1 揺動噴射式果実洗浄機 |
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表1 揺動噴射式果実洗浄機の主要諸元 |
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表2 揺動噴射式果実洗浄機の除去性能 (リンゴ) |
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予算区分 | 果実等輸出 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 | 宮崎昌宏、齋藤秀文、小林恭、関正裕、長坂善禎、建石邦夫、下田武志、小堀陽一、高辻豊二、中村ゆり |
発行年度 | 2006 |
収録データベース | 研究成果情報 |