畜産ふん尿用バイオガスプラントによるでん粉製造排液の嫌気発酵処理

畜産ふん尿用バイオガスプラントによるでん粉製造排液の嫌気発酵処理

タイトル畜産ふん尿用バイオガスプラントによるでん粉製造排液の嫌気発酵処理
要約でん粉製造排液を直接嫌気発酵原料として使用する場合、乳牛ふん尿との混合割合を調整することによって安定した嫌気発酵が可能であり、未処理排液に比べジャガイモそうか病菌数や臭気濃度を低減できる。
キーワードバイオガスプラント、でん粉製造排液、嫌気発酵、発酵阻害
担当機関根釧農試 研究部 酪農施設科
連絡先0153-72-2004 / seika@agri.pref.hokkaido.jp / seika@agri.pref.hokkaido.jp
区分(部会名)北海道農業
分類研究、参考
背景・ねらいでん粉の分離精製工程で生じる排液を圃場還元するため、畜産ふん尿用バイオガスプラント(連続式完全混合型、中温発酵)を利用した嫌気発酵処理を想定し、乳牛ふん尿スラリーを主とする原料へのでん粉製造排液添加量が発酵阻害現象に及ぼす影響を解明する。また、嫌気発酵処理によるジャガイモそうか病菌数と臭気濃度の低減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 道内のでん粉製造工場から排出されるでん粉製造排液の固形分濃度(TS)は4~5%、有機物濃度(VS)は3~4%である(表1)。アンモニア態窒素(NH4-N)濃度は微量であるが、全窒素(TN)濃度はばらつきがあり、平均で0.37%と、乳牛ふん尿スラリーのTN濃度0.26%に比べ窒素濃度が高い。排液中のジャガイモそうか病菌数は検出限界菌数以下から、4.3×103MPN/mlまで幅が認められる。
  2. 発酵温度38℃の試験用嫌気発酵槽(連続式完全混合型、容積16L)を用い、水理学的滞留日数20日(HRT:1日の原料投入量が発酵槽容積の1/20)で、投入原料をでん粉製造排液100%とした場合、NH4濃度が約3000mg/Lに達した時期から発酵阻害が生じ、メタン生成量が減少する(図1)。投入有機物あたりのメタン生成量は乳牛ふん尿スラリーで0.2LCH4/gVSあるのに対し、でん粉製造排液は0.5LCH4/gVSとより多い。
  3. 嫌気発酵処理液中のNH4-N/TN比はでん粉製造排液が0.92、乳牛ふん尿スラリーでは0.46であり、NH4濃度3000mg/L以上で発酵阻害が認められることから、乳牛ふん尿スラリーと混合して処理可能なでん粉製造排液の比率は34%(排液中TN濃度0.49%時)~88%(同0.27%時)で、平均TN濃度0.37%の場合は51%と試算される。
  4. 以上の結果に基づきでん粉製造排液を乳牛ふん尿スラリーに50%混合した原料を実規模の畜産ふん尿用バイオガスプラント(日処理量3m3)に適用し、発酵阻害を起こすことなくメタン生成量が増加するなど試験用嫌気発酵槽と同様の傾向を確認している。
  5. 嫌気発酵処理によりでん粉製造排液中に含まれるジャガイモそうか病菌数は検出限界以下に減少する(表2)。また、嫌気発酵処理によってNH4濃度は上昇するものの、でん粉製造排液の臭気濃度は未処理排液の1/20に低減される(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 畜産ふん尿用バイオガスプラントを利用したでん粉製造排液の処理技術を開発する際の基礎的データとして利用できる。
  2. 使用する原料については成分変動が予想されるため、利用前の成分確認が必要である。
  3. 塊茎褐色輪紋病の病原であるジャガイモモップトップウイルスを媒介するジャガイモ粉状そうか病菌のでん粉製造排液中における存否、およびその処理過程における消長は未解明である。従って、でん粉製造排液を原料に使用した嫌気発酵処理液は草地に散布し、当面畑地での利用を避ける。
具体的データ
表1
図1
表2
表3
予算区分受託
研究期間2004~2006
研究担当者関口建二、高橋圭二、大越安吾
発行年度2006
収録データベース研究成果情報

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