一穂穎花数を増加させても登熟歩合を低下させない水稲の遺伝子座

一穂穎花数を増加させても登熟歩合を低下させない水稲の遺伝子座

タイトル一穂穎花数を増加させても登熟歩合を低下させない水稲の遺伝子座
要約日印交配による交雑集団を用いた水稲の穎花数に関するQTL(量的形質遺伝子座)解析を行い、第1染色体上及び第6染色体上に、一穂穎花数を増加させるインド型品種由来のQTLを検出した。特に第6染色体上のQTLは一次枝梗数を増加させ、穎花数の増加による登熟歩合の低下が生じない。
担当機関北陸農業試験場 地域基盤研究部 稲物質代謝研究室
連絡先0255-26-8300
区分(部会名)北陸農業
専門バイテク
研究対象稲類
分類研究
背景・ねらい水稲の収量性は単位面積当たりの穎花数と登熟歩合の積に比例するため、収量性の向上には両方の形質の増強が必要である。しかし、この二つの形質間には一般に負の相関関係が認められることが多く、多収を図る上での大きな課題となっている。そこで、QTL(量的形質遺伝子座)解析により両形質に関与する遺伝子座を明らかにし、穎花数を増加させても登熟歩合の低下を生じさせない遺伝子座が存在するか検討する。
成果の内容・特徴
  1. 日印交配により育成されたハバタキ(インド型)/3*ササニシキ(日本型)の戻し交雑自殖系統群(BILs)を用いて、1998年及び1999年に穎花数及び登熟歩合に関するQTL解析を行った。第1染色体上及び第6染色体上に、一穂穎花数に関連するQTLが確認される(図1)。
  2. 第1染色体上のQTLは、インド型の遺伝子型で一穂穎花数を大きく増加させる(一例として1999年では40%増、寄与率35%)が、逆に登熟歩合を相殺的に低下させる(同23%減)(図2)。
  3. 一方、第6染色体上のQTLもインド型の遺伝子型で一穂穎花数を増加させる(同28%増、寄与率19%)が、登熟歩合の低下はほとんど認められない(同2%減以下)(図2)。
  4. 一穂穎花数に対する第1染色体上のQTLの効果は主に二次枝梗数の増加に由来しているのに対し、第6染色体上のQTLの効果は主に一次枝梗数の増加に由来する(図2)。さらに、第6染色体上のQTLの座乗する領域が乾物生産量を増加させる傾向も認められる(図2)。したがって、第6染色体上のQTLがインド型に由来する場合、登熟能力が高いとされる一次枝梗着生穎花数が増加することに加え、乾物生産量が増加するため、穎花数が増加しても登熟歩合の低下が生じないものと推察される。
成果の活用面・留意点
  1. 第6染色体上のQTLは、日本型品種の収量性向上への利用が期待できる。
  2. 密陽23号(インド型)/アキヒカリ(日本型)の雑種固定系統群を用いた解析でも、第1および第6染色体上に同様の作用を示すQTLが確認されている。ただし、第6染色体上のQTLの座乗位置が二つの系統群で若干ずれており、同一のものかどうか現在調査中である。
  3. 本成果は、単位面積当たりに換算すると約2~5.5万粒/㎡の穎花数レベルで得られた結果である。
具体的データ
(図1)
(図2)
予算区分形態・生理
研究期間1998~2000
発表論文水稲の登熟性向上に関する生理生態学的研究(2)密陽23号/アキヒカリの雑種固定系統群を用いた登熟性の評価と登熟性に関する遺伝子座解析、日作紀68(別1)、1999。
(3)ササニシキとハバタキの戻し交雑自殖系統群を用いた一穂粒数と登熟性に関する遺伝子座解析、日作紀69(別2)、2000。
(4)一穂粒数に関与する二つの遺伝子領域が登熟に差をもたらす要因、日作紀69(別2)、2000。一穂粒数に関与する水稲の遺伝子座とそれが登熟に及ぼす影響、北陸農業試験場ニュース 68、2000。
発行年度2000
収録データベース研究成果情報

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