水稲品種「ゆめひたち」の短稈性の遺伝

水稲品種「ゆめひたち」の短稈性の遺伝

タイトル水稲品種「ゆめひたち」の短稈性の遺伝
要約水稲短稈品種ゆめひたちの稈長には、IR8由来の半矮性遺伝子sd1のほか、稈長を実用的な長さにまで増大させる方向に働く微働遺伝子が関与しているとみられる。交配親とした場合、短稈個体の選抜は容易であり、穂長の短縮はみられないことから、短稈品種育成のための交配母本として有用である。
担当機関茨城県農業総合センター生物工学研究所 普通作育種研究室
連絡先029-239-7212
区分(部会名)関東東海農業
専門育種
研究対象稲類
分類研究
背景・ねらい水稲品種ゆめひたち(チヨニシキ/北陸122号,後のキヌヒカリ)は、コシヒカリに比べて稈長は16cm程度短く、草型が優れている。ゆめひたちの短稈性の遺伝子源としては、系譜からみて半矮性遺伝子sd1をもつIR8とd60をもつ北陸100号が考えられる。そこで、ゆめひたちを、短稈品種育成のための交配母本として利用するため、本品種の短稈性の遺伝について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 農林29号/ゆめひたちの組合せにおけるF1、F2の稈長の分布をみると(図1上段)、F1は長稈の農林29号と同等であり、F2は、長・短両方向に超越分離を示し、農林29号およびF1に近い個体の頻度が多かった。75cmを境にした長稈群と短稈群の分離比は3:1に適合し(χ2=0.41,P=0.50-0.70)、ゆめひたちの短稈性には1個の劣性の主働遺伝子が関与していると推測される。
  2. ゆめひたち/SC-TN1(IR8と同じ低脚烏尖由来のsd1をもつ)の組合せでは、F1の稈長は両親の中間より長くてゆめひたちに近く、F2は両親の稈長の間に分布した(図1中段)。したがって、ゆめひたちのもつ半矮性遺伝子はSC-TN1と同一座であり、系譜からみてIR8由来のsd1である。しかし、ゆめひたちの稈長はSC-TN1より20cmほど長いことから、ゆめひたちには、稈長を増大させる方向に働く微働遺伝子が集積されていると推察される。
  3. ゆめひたち/北陸100号では、F1は両親より長く、F2は長稈群と短稈群に分かれ、78cmを境にした分離比は9:7に適合した(χ2=0.13,P=0.70-0.90)(図1下段)。したがって、ゆめひたちと北陸100号の短稈性を支配する遺伝子は別個のものである。
  4. コシヒカリ/ゆめひたちのF2集団(n=231)と、同じF2集団(n=140)から稈長78cm以下の39個体(28%)を選んでつくったF3集団とを比較したところ、F3集団の平均稈長はF2集団に比べて4.4cm短縮し、70cm前後の稈長の個体が多数得られたが(図2)、平均穂長はF2集団が18.8cmに対してF3集団は18.7cmとかわらなかった(図3)。
  5. 以上のことから、ゆめひたちは、交配親とした場合、sd1および微働遺伝子の作用により70cm前後の実用的な稈長をもつ個体が多数得られ、また穂長は保たれるので、短稈品種育成のための交配母本として有用である。
成果の活用面・留意点
  1. ゆめひたちは、交配親とした場合、短稈化だけに着目すれば比較的初期世代での選抜が可能である。また、他の特性も良好で、草型、品質、食味等の改良が図れる。
  2. ゆめひたちは、縞葉枯病抵抗性をもたないため発生地帯では抵抗性品種と組合せる。
具体的データ
図表
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予算区分県単
研究期間1998~1998
発行年度1998
収録データベース研究成果情報

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