急速凍結(ガラス化)保存豚胚の融解時3段階希釈による生存性の向上

急速凍結(ガラス化)保存豚胚の融解時3段階希釈による生存性の向上

タイトル急速凍結(ガラス化)保存豚胚の融解時3段階希釈による生存性の向上
要約豚胚を、エチレングリコールにポリビニールピロリドンを加えた耐凍剤で急速凍結し、ガラス化保存した。融解後の耐凍剤除去は、ガラクトースとエチレングリコールを組み合わせた3段階希釈が有効で、拡張胚盤胞と脱出胚盤胞で良好な生存率を得た。
担当機関愛知県農業総合試験場 生物工学部 遺伝子工学研究室
畜産研究所 飼養環境研究室
連絡先0561-62-0085
区分(部会名)関東東海農業
専門繁殖
研究対象家畜類
分類研究
背景・ねらい豚胚は低温感受性が高く、凍結保存技術が確立されていない。しかし、優良種畜を長期間、維持保存・利用するためには、本技術の実用化が不可欠である。そこで、細胞内外の氷晶形成を除外して細胞の物理的損傷を少なくするガラス化保存法を使い、豚胚の発育ステージ別に、耐凍剤除去方法を含めて胚の生存性の高い急速凍結保存法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 2.0 Mエチレングリコール(EG)液で胚を5分感作し、0.25mlプラスチックストローに1.7 Mガラクトース(Gal)液とともに充填した耐凍剤、8.0 M EG + 7%ポリビニールピロリドン液に胚を導入して、ストローを封入後、液体窒素に投入して凍結した。融解後、ストローを振って内溶液を混和し、第一段階希釈を行う。3ステップ希釈は、更に胚を1.0 M、0.5 M EG液に2分ずつ感作させ、PBSで洗浄してから培養した。胚の培養は、修正CZB培地、5%CO2・15%O2・80%N2の気相、38.5℃条件で行った。
  2. EGへの室温感作試験では、2.0 M EG液にのみ15分感作した場合、あるいは凍結手順と同様に感作した場合ともに、胚の生存性が100%で、EGの豚胚への毒性は低いことが証明された(表1)。
  3. ガラス化保存胚の生存率は、融解後の希釈方法が大きく影響し、Gal とEGで浸透圧勾配をつけた3ステップが最も高い生存率を示した。融解後48時間での3ステップの発育ステージ別の生存率は、拡張胚盤胞(ExB)が84.6%、脱出胚盤胞(HB)が70.5%で、胚盤胞の35.3%よりも有意に高く、また、2ステップや1ステップに比べても有意に高い率であった(表2)。
  4. 3ステップ希釈の凍結胚(ExBとHB)を受胚豚27頭に移植したところ16頭が妊娠したが、12頭は妊娠23~50日で流産した(胎児あるいは懐胎物の確認)。2頭は妊娠25日目でと殺し、残り2頭が正常分娩した。移植胚数は平均22.9±4.3個/頭(合計618個)で、受胎豚の平均移植胚数が24.2±4.2個、不受胎豚の平均移植胚数は21.1±4.0個であった。
成果の活用面・留意点移植時に流産が多く見られる原因の一つに着床数の少なさが考えられ、また、融解後24時間から48時間にかけて生存率が低下するので、耐凍剤が胚の生存性に影響している可能性を完全に否定はできない。耐凍剤の最適濃度の検討を含めて若干の改良の余地が残されている。
具体的データ
図表
図表
予算区分国補
研究期間2000~2002
発行年度2000
収録データベース研究成果情報

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