大区画水田の水稲直播を対象とした可変施肥効果のシミュレーション

大区画水田の水稲直播を対象とした可変施肥効果のシミュレーション

タイトル大区画水田の水稲直播を対象とした可変施肥効果のシミュレーション
要約腐植含量と基肥窒素量を合成した指数値を用いて、精玄米重との回帰分析を行えば収量を最大化する施肥量がわかる。この分析結果をもとに10mメッシュ単位での可変施肥のシミュレーションを行うと、増収及び施肥量削減効果は腐植含量の影響が大きいとわかる。
キーワード腐植含量、最適施肥量、バラツキ、可変施肥、増収効果、施肥量削減効果
担当機関石川農研 企画経営部 経営機械科
連絡先076-257-6911() / tkudo@affrc.go.jp / tkudo@affrc.go.jp
区分(部会名)関東東海北陸農業
分類技術、参考
背景・ねらい大区画水田におけるほ場内の収量ムラ解消の効果を明らかにするため、本研究では直播水稲「コシヒカリ」の現地実証データをもとに、腐植含量及び施肥量と収量の関係式を導出し、可変施肥による増収効果と施肥量削減効果を腐植含量のバラツキ程度別に示す。
成果の内容・特徴1.
下層土の腐植含量をもとに基肥窒素量の基準値を算出し、それに実際に施肥する基肥窒素量を加えた指数値をXとする。Xの算出式はX=下層土の腐植含量×1.59×1.21+基肥窒素量、1.59は実証ほ場における作土と下層土の腐植含量の比率、1.21は「コシヒカリ条播直播栽培の基肥全量施肥基準」(北陸農業研究成果17号)における腐植含量と適正基肥窒素量の関係式の係数である。
2.
指数値と収量の分布(図1)をもとに、11から81まで10刻みにサンプルの移動平均値を求めた結果、41サンプル以上の移動平均値では滑らかな二次曲線となった(図2)。
3.
61サンプルでの移動平均値による回帰分析が、最も関係式の当てはまりがよい。その極大値となる指数値は5.98で、収量は458kg/10aである。なお、予測結果では指数値4.0以下と9.0以上の領域で収量が過小評価される(図1)。
4.
1.2haの現地実証圃場を30~50a程度の3つの区に分け、区別の10mメッシュ毎の腐植含量のデータと回帰分析結果をもとにモデルを作成し、可変施肥の効果をシミュレーションする(表1)。なお、効果の過大評価をさけるために、指数値4.0以下と9.0以上の領域では収量が減少しないこととした。試算はExcelのソルバーによる。
5.
可変施肥による増収効果及び施肥量削減効果は腐植含量のバラツキ(標準偏差)と関連性がある。バラツキの小さな区(標準偏差0.33)における増収効果は7kg/10a、施肥量削減効果は窒素成分で0.6kg/10aである。同様に中程度のバラツキの区(同0.51)及びバラツキの大きな区(同0.76)では、それぞれ、17kg/10aの増収効果または0.9kg/10aの施肥量削減効果、24kg/10aの増収効果または1.2kg/10aの施肥量削減効果となる(図3)。なお、圃場全体の標準偏差は0.59である。
6.
可変施肥が収益と費用に及ぼす影響を試算すると、バラツキの小さな区では、増収効果が1,900円/10a程度、肥料費削減効果が1,600円/10a程度である。バラツキが中程度あるいは大きな区では、増収効果は4,400~6,200円/10a程度と大きく、肥料費削減効果も2,500~3,100円/10a程度となる(表1)。
成果の活用面・留意点1.
可変施肥は大区画ほ場整備直後等の地力のバラツキが大きなほ場で有効な技術である。
2.
分析に利用した腐植データは、現地実証試験で導入したリアルタイム土中光センサ-により測定した土壌下15~20cmの下層土の化学分析値である。
3.
指数値と生育情報の関係の数量化の手法は、新品種の施肥基準作りの参考になる。
4.
サンプル水準の大きな移動平均による平滑化では予測最大収量が過小評価される傾向にあり、よりフレキシブルなモデルを検討する必要がある。
具体的データ
図表
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予算区分国補
研究期間1999~2002
研究担当者工藤卓雄(現中央農業総合研究センター)、国立卓生、森尾昭文
発行年度2002
収録データベース研究成果情報

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