給与対象牛に応じた稲発酵粗飼料の評価とその要因

給与対象牛に応じた稲発酵粗飼料の評価とその要因

タイトル給与対象牛に応じた稲発酵粗飼料の評価とその要因
要約稲発酵粗飼料の評価は、給与対象牛により異なり、肉牛経営では発育や産肉性への効果が見られる育成牛に給与する経営で、酪農では自給飼料生産圃場が少なく家畜排せつ物の利用促進が課題となっている経営において、それぞれの評価を表す購入上限価格が高くなる。
キーワード稲発酵粗飼料、肉牛、酪農、家畜排せつ物
担当機関(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター 経営計画部 畜産経営研究室
連絡先029-838-8875
区分(部会名)関東東海北陸農業
分類技術、参考
背景・ねらい水田農業の再編や家畜飼料の自給率向上を図るため、飼料イネ生産が推進されている。しかし、その定着化のためには製品のユーザーである畜産経営の評価やニーズの解析が必要である。そこで畜産経営における稲発酵粗飼料の評価を、購入上限価格として明らかにするとともに、評価に及ぼす要因を解明する。

成果の内容・特徴1.
畜産経営の稲発酵粗飼料に対する評価を表す購入上限価格は、給与する牛の種類や自給飼料生産圃場の大小により異なる。肉牛経営では若齢の育成牛を対象に給与する経営で40円以上の購入上限価格をあげる経営が多く、肥育前期の牛に給与する経営の購入上限価格は低い。酪農では自給飼料生産圃場が少なく購入飼料依存の経営で購入上限価格が高く、トウモロコシ等の自給飼料生産を行う経営では20円前後と低い(図1)。
2.
稲発酵粗飼料を利用する理由として、肉牛経営では家畜の発育や産肉性など飼料の機能をあげる経営が多いが、酪農では助成金受給により安価なことをあげる経営が多い。また、購入飼料依存の経営では家畜排せつ物の利用促進をあげる経営が多い(図2)。
3.
肉牛経営では、育成前期からチモシー等の良質乾草に置き換えて稲発酵粗飼料を給与する事例(A、B)において評価が高く、購入上限価格は良質乾草と同等以上である。その給与効果として、疾病の減少や嗜好性が高く腹作りに良いこと等をあげている。他方、育成後期から肥育前期に稲わらやフェスクなど難消化性の繊維を有する粗飼料に置き換えて稲発酵粗飼料を給与している事例(C)では評価が低い。この事例では肉質重視の飼養を行っており、稲発酵粗飼料のTDNやβカロテン等の成分が不明・不安定なことから扱い難い飼料として、稲わらよりも低い評価を与えている(表1)。
4.
酪農では、自給飼料生産圃場の少ない事例(D)において、家畜排せつ物処理の促進、それによる飼養規模拡大を稲発酵粗飼料利用の利点として高く評価している。他方、自給飼料生産圃場を多く有し家畜排せつ物処理に問題を抱えていない事例(E)では、刈遅れ等による難消化性の繊維や完熟籾の存在を問題視しており、評価を高めるには適期収穫の実行可能な品種や作付体系の導入が必要である(表1)。

成果の活用面・留意点1.
普及指導機関において、稲発酵粗飼料の利用促進ターゲットの選定、飼料イネの刈取り時期選定など畜産経営のニーズに対応した品質改善に活用できる。
2.
専用収穫機を用いて調製された稲発酵粗飼料を購入する関東地域の畜産経営の評価である。
3.
酪農の購入した稲発酵粗飼料は、収穫適期である黄熟期より遅れて収穫されたものである。
具体的データ
図1
図2
表1
予算区分交付金「関東飼料イネ」
研究期間2004~2008
研究担当者岡崎泰裕、秦隆夫、石川哲也、石田元彦、千田雅之、大石亘、田口光弘、平児慎太郎
発表論文千田(2005)農業経営通信224号:38-41
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

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