食品残さを活用した安価な乳酸発酵飼料による肉用牛の低コスト肥育

食品残さを活用した安価な乳酸発酵飼料による肉用牛の低コスト肥育

タイトル食品残さを活用した安価な乳酸発酵飼料による肉用牛の低コスト肥育
要約水分含量を45%程度に調整した食品残さを主体とする混合飼料を密閉貯蔵して調製した乳酸発酵飼料は、黒毛和種去勢牛の嗜好性が高く、増体成績は配合飼料給与と比べて劣ったが、肉質が優れ枝肉単価は向上した。
キーワード肉用牛、食品残さ、乳酸発酵飼料、低コスト、黒毛和種去勢牛
担当機関千葉畜総研 生産技術部 乳牛肉牛研究室
連絡先043-445-4511
区分(部会名)関東東海北陸農業
分類技術、参考
背景・ねらい肉用牛肥育経営に占める飼料費は、素畜費を除いた生産費の約70%に及び、そのうちの大部分を占める濃厚飼料(穀類)はほとんど輸入に依存している。そこで、肉牛肥育のコスト削減および輸入飼料依存度を低下させるため、国内の食品工場から恒常的に排出される食品残さを乳酸発酵飼料に調製して黒毛和種去勢牛に給与し、産肉性等に及ぼす影響について検討した。

成果の内容・特徴1.
平均11.2ヶ月齢の黒毛和種去勢牛8頭(父は北国茂)を対照区と発酵区に4頭ずつ分けて群飼育した。給与飼料として、発酵区は食品残さを主体とする発酵飼料(表1)を用い、対照区は濃厚飼料として市販配合飼料、粗飼料としてモミ殻と切断稲ワラとを乾物比1:1で混合したものを用いた。肥育期を前期(5.3ヶ月間)、中期(5.3ヶ月間)、後期(7.0ヶ月間)に分け、給与飼料の粗濃比(乾物)を前期25:75、中期15:85、後期10:90として自由採食させ、29.0ヶ月齢でと畜した。
2.
発酵飼料は稲わらを除く材料を混合して籾殻用ポリ袋に詰め、掃除機で抜気して密閉貯蔵することで、乳酸主体の発酵が進んでpHは約3.9に低下し、嗜好性も良好である。
3.
発酵飼料の調製に繊維含量が高い食品残さを多く用いたため、そのNDF含量は対照区に比べて10~14%高くなる(表1)が、乾物摂取量は発酵区が多く、体重と日増体量は対照区が勝る傾向がある(表2)。
4.
枝肉重量は対照区が重い傾向があるが、肉質等級は発酵区が向上する。発酵区は、BMS No. と枝肉単価が有意に高く、枝肉販売価格には有意な差はない(表3)。
5.
ロース芯の肉質は、発酵区は水分と粗蛋白質の含量が低く粗脂肪含量が高い傾向であり、クッキングロスが少ない傾向であった。発酵区はせん断力価と皮下脂肪の融点が低かった(表4)。
6.
飼料のkg単価を、ビール粕・小麦ダスト10円、配合飼料40円、トウモロコシ36.5円、フスマ28.5円、コーンスチープリカー5円、稲わら48円、豆腐粕・コーヒー豆薄皮・モミガラは無料として肥育に要した飼料費を計算すると、対照区205,692円、発酵区138,367円となり、発酵飼料の給与により飼料費を67,325円(約33%)削減することが可能である。

成果の活用面・留意点1.
発酵に適した水分含量 (45%程度)に調製した混合飼料を掃除機で抜気して密閉保存することで食品残さを低コストで飼料化でき、肥育農家やTMRセンター等で利用できる。
2.
発酵飼料は、切断稲わらやモミガラなどの粗飼料を混合しても発酵調製が可能である。また、食品残さ中の繊維は一般的に粒子が細かく、牛の反すうを刺激する効果が低いことから、粗飼料は通常の肥育飼料と同水準にするのが安全である。
3.
ポリ袋を内装したフレコンバックを利用すれば、安定した発酵と省力化が可能である。

具体的データ
表1 発酵飼料の配合割合・乾物中成分値・発酵品質 (%)
表2 飼料乾物摂取量、体重、日増体量
表3 枝肉の格付け成績・枝肉価格
表4 ロースの肉質分析結果と脂肪融点
予算区分県単
研究期間2004~2005
研究担当者石崎重信、山田真希夫
発行年度2006
収録データベース研究成果情報

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