水稲複合抵抗性品種「彩のかがやき」を核にした環境負荷低減型のIPM栽培事例
水稲複合抵抗性品種「彩のかがやき」を核にした環境負荷低減型のIPM栽培事例
タイトル | 水稲複合抵抗性品種「彩のかがやき」を核にした環境負荷低減型のIPM栽培事例 | ||
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要約 | 埼玉県において病害虫複合抵抗性品種、温湯消毒、肥効調節型肥料の苗箱施用(苗箱まかせ)、ケイ酸資材(イネルギー)、要防除水準に基づいた化学的防除を組合せることで、水稲IPMの概念の活用による減農薬、減化学肥料栽培ができる。 | ||
キーワード | IPM、複合抵抗性品種、温湯消毒、肥効調節型肥料、苗箱施用、ケイ酸資材 | ||
担当機関 | 埼玉農総研 水田農業研究所 生産環境担当 | ||
連絡先 | 048-521-5041 | ||
区分(部会名) | 関東東海北陸農業 | ||
分類 | 技術、参考 | ||
背景・ねらい | 農業生産現場からは持続可能な農業生産を、消費者からは安全・安心な農作物の供給を、市民生活面からは農用地由来の環境負荷低減を求められている。これらの問題を解決するための単独技術は確立されつつあるが、それぞれの技術が有効に組み合わされていない場合が多い。そこで、病害虫複合抵抗性品種「彩のかがやき(穂いもち、縞葉枯病、ツマグロヨコバイ抵抗性)」を核に、各種技術、効率的な農薬及び肥料の使用体系を組み合わせた水稲の減農薬、減化学肥料栽培技術を確立する。 | ||
成果の内容・特徴 | 1. 肥効調節型肥料の苗箱施用(苗箱まかせ)を用いることにより、窒素質肥料を30%程度削減しても慣行並みの収量が得られる(表1)。 2. 農薬は、早植では育苗時の苗立枯病予防のためタチガレンを必要とするが、それ以外は不要である。普通植ではこれに加えて、イチモンジセセリが本田調査で要防除水準に達し、農薬による防除を必要とする(表1、図1)。 3. 穂いもちが多発した平成18年は、抵抗性品種「彩のかがやき」においても早植で穂いもちが発生したが(程度は軽微)、ケイ酸資材(イネルギー)を使用することにより、発生株率の半減した(図2)。 4. 図3に埼玉県での水稲IPM技術のフローチャートを示す。予防的措置、防除の判断、防除の方法の各項目を設定し、防除の判断は、紋枯病、ニカメイチュウ、ツマグロヨコバイ、イチモンジセセリについては要防除水準に基づいて行う。 5. 以上より「病害虫複合抵抗性品種」「種子の温湯消毒」「肥効調節型肥料の苗箱施用」「ケイ酸資材」「要防除水準に基づいた化学的防除」などを組み合わせた水稲IPMでは、減農薬、減化学肥料による水稲生産が可能となる。 | ||
成果の活用面・留意点 | 1. 持続可能な農業生産や安全・安心な農作物供給を可能にする、環境保全型農業の推進に活用できる。 2. 特別栽培米やエコファーマーの参考となる。 3. 近年、イナズマヨコバイとフタオビコヤガの発生が多い。今後、これらの発生動向には十分注意する必要がある。 | ||
具体的データ | |||
表1 各作期における農薬使用状況及び肥効調節型肥料の苗箱施用と慣行肥料区の収量・品質(H16~H18) | |||
図1 作期によるイチモンジセセリ発生量の相違 | |||
図2 ケイ酸資材(イネルギー)施用と穂いもち発生量との関係 | |||
図3 埼玉県での水稲IPM技術のフローチャートと3年間の防除要否の判断結果 | |||
予算区分 | 県単 | ||
研究期間 | 2004~2006 | ||
研究担当者 | 矢ヶ崎健治、江村薫、根岸進、新井利行 | ||
発行年度 | 2006 | ||
収録データベース | 研究成果情報 |