チビトビコバチはクワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である

チビトビコバチはクワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である

タイトルチビトビコバチはクワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である
要約減農薬茶園におけるクワシロカイガラムシと土着天敵のチビトビコバチの密度は、相互に影響しながら変動し、これら寄主-寄生者密度の相互関係は概ね左回りの軌道を示す。チビトビコバチの保護利用は、クワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である。
キーワードチャ、クワシロカイガラムシ、土着天敵、寄生蜂、チビトビコバチ
担当機関静岡農技研(茶研セ) 生産環境(病害虫)
連絡先0548-27-2311
区分(部会名)関東東海北陸農業
分類研究、参考
背景・ねらい茶園には、チビトビコバチなどクワシロカイガラムシの土着天敵が生息しているが、これらの天敵がクワシロカイガラムシの密度抑制要因として機能しているかは不明な点が多い。そこで、寄生蜂類の優占種であるチビトビコバチと寄主のクワシロカイガラムシの密度変動を解析し、チビトビコバチの密度抑制要因としての機能を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 牧之原市布引原地区の交信攪乱剤処理茶園(減農薬茶園)において、約4年間延べ13世代にわたってクワシロカイガラムシの密度とチビトビコバチの寄生率の経時的な変動を調べた結果、寄生率が80%程度まで上昇すると寄主密度が急激に低下し、寄生率が低下すると寄主密度が徐々に上昇する変動パターンが認められる(図1)。
  2. さらに、葉層下に吊した黄色粘着トラップに捕獲された世代毎のクワシロカイガラムシの雄成虫数(X)とチビトビコバチの世代毎の捕獲数(Y)との関係を世代毎にプロットすると、振幅の大きい左回りの軌道を示す(図2)。このことは、チビトビコバチはクワシロカイガラムシの密度抑制要因として機能していることを示唆する。
  3. 一方、同じ地区の慣行防除茶園において延べ9世代にわたってクワシロカイガラムシの密度とチビトビコバチの寄生率の経時的変動を調べた結果、寄生率は一時的には60%程度まで上昇したが寄主密度には大きな低下は認められない(図3)。
  4. 交信攪乱剤処理茶園(減農薬茶園)ではチビトビコバチが保護され、その寄生率が高まったためにクワシロカイガラムシの密度が低下したが、慣行防除区ではチビトビコバチの保護が十分でないためにクワシロカイガラムシの密度は低下しなかったと考えられる。
  5. 従って、チビトビコバチの保護利用は、クワシロカイガラムシの密度抑制要因として重要である。
成果の活用面・留意点
  1. チビトビコバチが優占天敵種となっている地域では、交信攪乱剤や選択性殺虫剤の使用などによりチビトビコバチの保護利用を図ることが重要である。ただし、チビトビコバチの保護だけでクワシロカイガラムシを低密度に長期に安定化させることは難しい。
  2. 気象条件や栽培管理などの外部要因により、クワシロカイガラムシが多発する場合もあるので注意する。
  3. 茶園におけるクワシロカイガラムシの土着天敵には、チビトビコバチだけではなく、サルメンツヤコバチやナナセツトビコバチ、捕食性天敵のハレヤヒメテントウなどがある。これらの天敵種間の相互関係は不明である。
具体的データ
図1 交信攪乱剤処理茶園におけるクワシロカイガラムシの密度とチビトビコバチの寄生率の変動
図2 交信撹乱剤処理茶園における粘着トラップによるクワシロカイガラムシ(X)とチビトビコバチ(Y)の捕獲数の世代毎の相互関係の軌道(シンボル横のラベルはクワシロカイガラムシの年一世代を表す)
図3 慣行防除茶園におけるクワシロカイガラムシの密度とチ
ビトビコバチの寄生率の変動
予算区分委託プロ(生物機能)
研究期間2002~2008
研究担当者小澤朗人
発行年度2008
収録データベース研究成果情報

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