可搬型近赤外分光器によるウンシュウミカン葉中窒素の測定

可搬型近赤外分光器によるウンシュウミカン葉中窒素の測定

タイトル可搬型近赤外分光器によるウンシュウミカン葉中窒素の測定
要約生葉測定用に開発した可搬型近赤外分光器を用いて、ウンシュウミカンの葉中窒素含量を迅速に非破壊測定できる。1枚当たり約8秒の測定時間でノイズの少ない1300~2400 nmの連続スペクトルが得られ、実用可能な測定精度である。
担当機関和歌山農総技セ 果樹試 栽培部
連絡先0737-52-4320 / kmiyamo@cypress.ne.jp / kmiyamo@cypress.ne.jp
区分(部会名)近畿中国四国農業
分類技術、普及
背景・ねらい味の良いウンシュウミカンを連年生産するためには、園地や樹の栄養状態に応じたきめ細かい施肥管理が重要である。生葉の近赤外スペクトルから窒素含量を迅速簡便に測定できることは既に報告したが(平成16年度研究成果情報)、現場で使える測定装置の実用化が求められている。そこで、メーカーと共同開発した可搬型近赤外分光器を用いて、現地ミカン園での葉中窒素含量のモニタリングを行い、その測定精度と実用性を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 装置の大きさはH320×D230×W190mm、重さ8.5 kgの可搬型である。電源はAC100Vで、屋外では専用バッテリーを使用する。1300~2400 nm波長域を、1 nm間隔に1回0.8秒でスキャンして連続スペクトルを測定する。雑音レベル0.1% rms以下、波長分解能約20 nmの高性能な装置である。価格は、市販の近赤外汎用型モノクロメータの約10分の1である。
  2. 本装置の測定窓は直径9.5 mm円形で、窒素計測には生葉の葉身部1ヶ所の測定で十分であり、葉1枚の測定時間は約8秒である。1300~2400 nm波長域を8回スキャンした平均値から安定した吸光度スペクトルが得られる(図1)。測定する際には、葉表を光源側に向け、試料部キャップを引いてできた隙間に葉脈主軸をはずして挟み込む(写真1)。
  3. 本装置で測定したウンシュウミカン春葉(7月~11月採取)のスペクトルデータから、CNコーダ分析による全窒素含量、およびケルダール分析による全窒素含量を求める検量線を作成した。解析ソフトはThe Unscrambler(CAMO、Norway)で、使用波長域1600~2300 nmのPLS回帰分析によった。未知サンプルに対する予測誤差(乾物重%)は、それぞれ、標準偏差(SEP):0.132、0.134 %、バイアス:0.007、-0.042%であり、実用可能な測定精度である(図2)。
  4. この検量線を使って、現地ウンシュウミカン園における2004年7月~翌年3月の無着果新梢中位葉における葉中窒素含量をモニタリングした。その結果、同じ園地でも樹による窒素含量の違いや季節変化の違いが明瞭であり(図3)、本装置はウンシュウミカン樹の迅速簡便な窒素栄養診断に実用可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 測定部分がファイバー仕様ではないので、サンプル葉は樹から切り取る必要がある。
  2. 4~6月の幼葉は本方法では測定できない。これ以外ならば新葉、旧葉にかかわらず測定できる。
  3. RQフレックス、SPADなどの間接測定に比べ、本装置の測定精度は安定して高い。
  4. 窒素以外の成分(水分、デンプン等)でも、検量線を作れば測定可能である。
具体的データ
写真1
図1
図2
図3
予算区分地域農業確立総合研究「カンキツ連年生産」委託金
研究期間2003~2007
研究担当者宮本久美、大倉 力(マキ製作所)
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

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