タイトル | アザミウマ類の土着天敵ヒメハナカメムシ類採集のための天敵採集装置の開発 |
要約 | 風圧を利用したヒメハナカメムシ類の採集装置を開発する。この装置を用いることで、匍匐性の景観植物に生息するヒメハナカメムシ類を効率的に採集できる。 |
キーワード | 土着天敵、ヒメハナカメムシ、アザミウマ、景観植物、採集 |
担当機関 | 岡山農総セ 農試 病虫研究室 |
連絡先 | 086-955-0543 |
区分(部会名) | 近畿中国四国農業 |
分類 | 技術、参考 |
背景・ねらい | 果菜類の難防除害虫であるアザミウマ類の有力な土着天敵ヒメハナカメムシ類は、匍匐性の景観植物であるスカエボラやバーベナ「タピアン」に発生が多い。これら景観植物から土着のヒメハナカメムシ類を大量に採集し、圃場へ放飼し特定農薬として利用するため、ヒメハナカメムシ類を簡易に採集できる天敵採集装置を開発する。
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成果の内容・特徴 | - 天敵採集装置は既存の害虫捕虫機(図1)をプロトタイプとしているが、害虫捕虫機より強力なブロアーを搭載し、さらに風の吹き出し口を多口から単口にして風圧を強めている。ブロアーから吹き出す強い風をスカエボラなどのヒメハナカメムシ類の発生が多い匍匐性の景観植物にあて、そこに潜むヒメハナカメムシ類を吹き飛ばして捕虫網に集めることができる。(図2)。
- 天敵採集装置の捕虫網の口に装着したネットで大きなゴミ等は捕虫網の中に入らないが、ヒメハナカメムシ類は通過できる。ネットを通過したヒメハナカメムシ類は捕虫網の末端にある着脱式の採集袋に集まり、採集袋を交換することで簡単にヒメハナカメムシ類を採集できる(図2)。
- プロトタイプとした害虫捕虫機では、ほとんど採集できなかったヒメハナカメムシ類が、天敵採集装置を用いると高率で採集できる(表1)。
- 天敵採集装置を用いたヒメハナカメムシ成虫の面積当たり採集率は、捕虫網による掬い取りの約2倍である(表2)。
- 天敵採集装置を用いると、成虫密度が78頭/m2のスカエボラ100m2から1回の採集(約20分)で成虫1300頭が採集可能と試算される(表1)。
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成果の活用面・留意点 | - 天敵採集装置による採集率には変動がみられ、7~8月にスカエボラまたはバーベナ「タピアン」で実施した8回の試験での採集率は4~21%(平均13%)である。
- 天敵採集装置を用いてスカエボラ、バーベナ「タピアン」からヒメハナカメムシ類を採集した後、夏期では2~3週間経過すると密度はほぼ回復する。
- 天敵採集装置でのヒメハナカメムシ類の採集率は、日中が高い。雨滴などで景観植物が濡れている時は、採集率が低下する。
- 採集袋には、ヒメハナカメムシ類だけでなくアザミウマ類、ハダニ類、アブラムシ類やカスミカメムシ類なども混入しているが、別途開発した分別装置を用いることでヒメハナカメムシ類成虫だけ分離して放飼できる。
- 採集装置の商品化は現在検討中である。
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具体的データ |
図1 |
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図2 |
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表2 |
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予算区分 | 国庫(先端技術を活用した農林水産研究高度化事業) |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 | 井口雅裕(和歌山農試)、三浦一芸(近中四農研センター)、長森茂之、服部剛幸(みのる産業) |
特許出願(公開) | みのる産業(株)(2006)「天敵虫用捕虫機」特許出願 2006-013108 |
発行年度 | 2007 |
収録データベース | 研究成果情報 |