登熟期の高夜温は胚乳細胞の成長抑制を介して玄米1粒重を小さくする

登熟期の高夜温は胚乳細胞の成長抑制を介して玄米1粒重を小さくする

タイトル登熟期の高夜温は胚乳細胞の成長抑制を介して玄米1粒重を小さくする
要約 登熟期の高夜温による玄米1粒重の低下は、胚乳細胞の成長抑制を介して生じる。細胞成長が特に抑制される胚乳内の位置は胚乳の中心点から輪郭にかけての中間のリング部分である。
キーワード イネ、高夜温、玄米1粒重,胚乳細胞、細胞成長、細胞数、画像解析
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 暖地温暖化研究チーム
連絡先0942-52-0670
区分(部会名)作物
区分(部会名)九州沖縄農業
分類研究、参考
背景・ねらい近年、夏季の高温や寡照によりイネの登熟障害が頻発しており、そのメカニズムの解明や対策技術の開発が喫緊の課題である。これまでに特に高夜温が玄米1粒重を低下させることが明らかになっているが、その要因は明らかではない。そこで、高夜温が胚乳細胞の分裂と成長のどちらを抑制することで玄米1粒重を低下させるのかを解析する。
成果の内容・特徴
  1. 高夜温区(昼22夜34)では、高昼温区(昼34夜22)や対照区(昼夜22一定)に比べて玄米横断面の胚乳細胞数は減少せず、胚乳細胞1個あたりの面積が減少する(表1)。したがって、高夜温は胚乳細胞の分裂ではなく成長を抑制することで玄米1粒重を低下させる。
  2. 胚乳中心点から各細胞までの距離を、輪郭までの距離を100%とした場合の比率(%)で表すと(図1:r)、いずれの温度条件でも細胞の大きさは50~60%付近で最大となるが、主にこの位置を中心に高夜温区で高昼温区や対照区に比べて細胞が小さい(図2)。
  3. 胚乳中心点から背部維管束への方向を0度として各細胞の位置を角度で表すと(図1:θ)、高夜温区と高昼温区との細胞の大きさの差はいずれの角度においてもほぼ同程度である(図3)。なお、登熟後期に細胞が成長する背部維管束付近では、高夜温区、高昼温区いずれでも対照区より細胞が小さくなることから、登熟後期の細胞成長は昼夜を問わず高温条件で抑制される。
  4. 以上のことから、特に夜の高温で細胞成長が抑制される胚乳内の位置は、胚乳の中心点から輪郭にかけての中間のリング部分である(図1)。この部位の細胞成長時期は粒重増加速度が最大になる時期とほぼ一致しており、高夜温は主にこの時期の細胞成長の抑制を介して玄米1粒重を低下させる。
成果の活用面・留意点
  1. 高温登熟障害のメカニズムの解明や対策技術の開発のための知見として活用できる。
  2. 胚乳細胞の数と大きさの測定は、光学顕微鏡で撮影した玄米横断面の胚乳細胞をトレースし、その画像をパソコンに取り込み、各細胞の位置(極座標)、面積および数を画像解析で算出することにより行った。供試粒数は5~10粒/試験区とした。
  3. 高夜温による玄米1粒重の低下は他の複数の品種でも認めているが、胚乳細胞の数と大きさの解析はキヌヒカリでしか行っていない。

具体的データ
表1
図1
図2
図3
予算区分交付金・基盤
研究期間2004~2006
発行年度2006
収録データベース研究成果情報

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