タイトル | ヒートポンプと温風暖房機の複合加温システムにおける加温特性と省エネ効果 |
要約 | ヒートポンプは、運転開始後、次第に温風温度が低下し、運転を停止するため、設定温度を確保しようと温風暖房機が稼働する。以降、この動作を繰り返し設定温度を確保する。複合加温は温風暖房機単独加温に比べ、ランニングコストは大幅に削減できる。 |
キーワード | ヒートポンプ、温風暖房機、複合加温、削減効果 |
担当機関 | 佐賀農業セ 栽培技術部 野菜研究担当 |
連絡先 | 0952-45-2141 |
区分(部会名) | 九州沖縄農業 |
分類 | 技術、普及 |
背景・ねらい | 原油高騰が続く中で、重油価格の値上がりは施設園芸を中心に生産コスト(燃料費)の増加や農業所得の低下など、農業経営に大きな影響を与えている。県内、主力施設野菜のナス、キュウリなどは最低夜温12℃の温度確保が必要であり、価格が高騰したA重油よりも相対的に割安となった電力利用のヒートポンプが期待される。しかし、ヒートポンプを用いた場合、ハウス内での運転特性等に不明な点が多い。そこで、ヒートポンプと温風暖房機の複合加温システムの加温特性及び、温風暖房機単独で運転した場合とのランニングコストについて明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | - ハウスは室内容積448立方m(床面積160m2)の単棟アーチパイプハウスで、ヒートポンプは暖房(定格)消費電力3.67KW、定格暖房能力14.0KW(12,040kcal)を、温風暖房機は暖房定格能力32,000kcalを用いた。温度設定はハイブリッド制御盤(N社製)で12℃設定とし、ヒートポンプの動作幅(DIF)を1.0(運転開始11.5℃、運転停止12.5℃)、温風暖房機は温度差を2℃つけ、DIFを0.8(運転開始10.1℃、運転停止12.9℃)とした。
- 外気温度が約3℃の時、ヒートポンプの吹き出し温度は、運転開始後2時間経過した頃から次第に低下し、ハウス内設定温度を確保できなくなる。最終的に室外機は除霜運転に入り、温風の吹き出しが停止する(図1)。
- ヒートポンプの運転停止後、ハウス内温度が10℃以下に低下すると温風暖房機が稼働し、設定温度が確保されると温風暖房機の運転が停止する(図1)。
- ヒートポンプは、停止15分後に運転を再開して、設定温度を確保できるが、再び温度は次第に低下し、運転が停止して、室外機の除霜運転に入り、温風暖房機が稼働することを繰り返しながら設定温度を確保する(図1)。
- 温風暖房機単独加温と複合加温のランニングコストを比較すると、複合加温では53%に低下する(表1)。
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成果の活用面・留意点 | - ハウスの被覆資材等は、外張りをPO系フィルム(厚さ0.1mm)、二重カーテン、サイド内カーテンはPO系フィルム(厚さ0.05mm)を用いた。
- コストの比較は、灯油暖房機を用い13日間運転した結果であり、灯油消費量をカロリーベースで重油に換算した。なお、重油価格は130円/Lとした。
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具体的データ |
図1 |
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表1 |
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予算区分 | 県単 |
研究期間 | 2007~2008 |
発行年度 | 2008 |
収録データベース | 研究成果情報 |