タイトル | ウリ類退緑黄化ウイルスによるメロンおよびキュウリ退緑黄化病(新称) |
要約 | メロンおよびキュウリで発生する黄化症は、タバココナジラミバイオタイプQおよびBが媒介するウリ類退緑黄化ウイルスの感染で発病するメロンまたはキュウリ退緑黄化病である。 |
キーワード | ウリ類退緑黄化ウイルス、退緑黄化病、タバココナジラミ、バイオタイプ |
担当機関 | 宮崎総農試 生物環境部 |
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(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 暖地施設野菜花き研究チーム |
熊本農研セ 生産環境研 |
熊本農研セ 農産園芸研 |
佐賀農研セ 有機 環境農業部 |
大分農林水産研 安全農業研 |
連絡先 | 096-248-6490 |
区分(部会名) | 九州沖縄農業 |
分類 | 研究、普及 |
背景・ねらい | 九州北部では、2004年秋からメロンおよびキュウリの葉が黄化する原因不明の障害「黄化症」が発生し問題となった。発生が確認された時期にタバココナジラミバイオタイプQ(以下バイオタイプQ)の発生が確認され、発症株からクリニウイルスの一種が検出された。そこで、バイオタイプQおよび検出されたウイルスの黄化症への関与について明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | - 黄化症には、透過型の退緑小斑点が増加、拡大して点状または葉脈に沿って緑色部分が残る黄化葉に進展する症状(退緑小斑点型)と不整形の不鮮明な黄化斑点が拡大して葉の全面が黄化する黄化症状(黄斑型)がある。キュウリでは、症状が進むと葉の周囲が下側に巻く(図1)。
- 黄化症状を示すメロンおよびキュウリからクロステロウイルスを検出するユニバーサルプライマーを用いたRT-PCRにより特異的なDNA増幅がえられた。解読した塩基配列は、クロステロウイルス科クリニウイルス属のビートシュードイェロースウイルスとCucurbit yellows stunting disorder virus(日本未発生)に類似するが、相同性は約75%であった。
- 電子顕微鏡観察により、本ウイルスが感染した葉の維管束部分から長さ900~1000nmの屈曲したひも状粒子が低頻度で観察された(図2)。
- タバココナジラミバイオタイプQおよびバイオタイプBは、黄化症株を吸汁することでクリニウイルスを保毒し、接種した健全メロン株に黄化症が再現された(表1)。キュウリにおいても本ウイルスの感染および発症を確認した(データ略)。
- 病名をメロン退緑黄化病およびキュウリ退緑黄化病、ウイルス名をウリ類退緑黄化ウイルス(英名:Cucurbit chrolotic yellows virus,CCYV)として日本植物病理学会病名委員会に提案している。
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成果の活用面・留意点 | - ウイルスを保毒していないタバココナジラミによる異常症や草勢の低下、土壌病害でも葉の黄化が発生するが、ウリ類退緑黄化ウイルスが関与するのは、退緑小斑点型および黄斑型の黄化である。
- メロンおよびキュウリ退緑黄化病の病徴は、ビートシュードイエロースウイルスが原因で発生するメロンおよびキュウリ黄化病と酷似しているため、両種の識別にはRT-PCRを用いる。
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具体的データ |
図1 |
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図2 |
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表1 |
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予算区分 | 先端技術を活用した農林水産高度化事業 |
研究期間 | 2006~2008 |
発行年度 | 2008 |
収録データベース | 研究成果情報 |