野菜・海藻に含まれるキサントフィルの消化・吸収

野菜・海藻に含まれるキサントフィルの消化・吸収

タイトル野菜・海藻に含まれるキサントフィルの消化・吸収
要約ガン予防や血流改善等の機能が示唆されているフコキサンチン、ネオキサンチン及びクロセチンについて、マウスでの消化・吸収及び代謝変換を解析した。また、食品中のカロテノイドの消化性を簡便に評価するin vitro消化系を構築した。
担当機関(独)食品総合研究所 食品素材部 脂質素材研究室
連絡先029-838-8039 / nagao@nfri.affrc.go.jp / nagao@nfri.affrc.go.jp
区分(部会名)食品
背景・ねらい多くの椊物性食品に含まれるカロテノイドは、ラジカル捕捉活性及び一重項酸素消去能などの抗酸化性 示すため生活習慣病予防に寄与しているものと考えられている。また、その中でも極性の高いキサントフ ィルやアポカロテノイドには抗酸化性の他に特異な生物活性が報告されている。海藻に含まれるフコキサ ンチンや緑葉野菜のネオキサンチンには強い抗プロモーション活性やがん細胞増殖抑制活性が、サフラン やクチナシの色素成分であるクロセチンには血流改善作用が報告されており、ヒトの健康維持への関与が 示唆されている。しかし、これらを食品から摂取した場合の生物活性発現を裏付ける消化・吸収等の生体動態についての知見は得られていない。本研究では、これらのキサントフィル類の消化・吸収と代謝産 物についてマウスへの経口投与試験により解析し、また、それらの生物活性をPC-3ヒト前立腺がん細胞の 増殖に対する影響から評価した。
成果の内容・特徴1.ワカメ由来フコキサンチンのマウスへの経口投与試験の結果、フコキサンチンは消化管内でフコキサ ンチノールへ加水分解されたのち吸収され、さらに肝臓ミクロソームの脱水素酵素の働きによりアマ ローシアキサンチンAに変換されることを見出した(図1)。これらの代謝産物は、PC-3 ヒト前立 腺がん細胞に対してフコキサンチンと同程度の細胞毒性を示したことから、従来報告されてきた in vivo でのフコキサンチンの生物活性はこれらの代謝産物に依存することが示唆された。
2.ホウレン草由来ネオキサンチンのマウスへの経口投与試験の結果、ネオキサンチンは消化管内でその 一部がネオクロームに異性化されたのち吸収されることを見出した(図2)。ネオキサンチンの PC-3 ヒト前立腺がん細胞に対するアポトーシス誘導活性は、ネオクロームでは消失したものの顕著な細胞 増殖抑制作用を示した。in vivo でのネオキサンチンの生物活性にはネオクロームも関与することが示 唆された。
3.クロシン及びクロセチンのマウスへの経口投与試験の結果、クロシンは消化管内でクロセチンへ加水 分解後に吸収されること、クロセチンの一部はグルクロン酸抱合体に変換されることを見出した。こ れらの吸収性は、β-カロテンやネオキサンチン等に比べ 10 倊程度高いことが示唆された。
4.椊物性食品中のカロテノイドの消化性及び消化過程における化学変化を調べるため、塩酸酸性や消化 酵素処理等からなるin vitro消化系を構築した。ホウレン草に含まれる非極性のβ-カロテンの消化 性は、極性のキサントフィル類に比べ著しく低いことが示され、食品カロテノイドの消化性を評価で きることが分かった(図3)。
予算区分科振調(非栄養性機能物質)、受託研究
研究期間2003~2004
研究担当者長尾昭彦
発表論文1)Akira Asai, et al., An epoxide–furanoid rearrangement of spinach neoxanthin occurs in the gastrointestinal tract of mice and in vitro: formation and cytostatic activity of neochrome stereoisomers, J. Nutr., 134, 2237-2243(2004)
2)Akira Asai, et al., Biotransformation of fucoxanthinol to amarouciaxanthin A in mice and HepG2 cells: formation and cytotoxicity of fucoxanthin metabolites, Drug Metab. Dispos. 32, 205-211(2004)
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat