チキンエキスからの機能性ジペプチドの抽出・精製とその利用技術の開発

チキンエキスからの機能性ジペプチドの抽出・精製とその利用技術の開発

タイトルチキンエキスからの機能性ジペプチドの抽出・精製とその利用技術の開発
要約 イオン交換処理とナノろ過処理とを組み合わせ、チキンエキスから抗酸化ジペプチド(アンセリン・カルノシン)を効率的に精製・濃縮するシステムを開発した。本抗酸化ジペプチドに植物系抗酸化剤を配合した清涼飲料に脂肪代謝を促進させる等の効果があることが、臨床試験により確認された。
キーワード抗酸化、アンセリン、カルノシン、ナノろ過、イオン交換、臨床試験
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品工学研究領域 反応分離工学ユニット
連絡先029-838-7323
区分(部会名)食品
分類技術、参考
背景・ねらい
 食生活を通じた健康維持に対する消費者の関心は極めて高くなってきており、抗酸化成分を含む食品の消費が顕著に増加している。現在のところ注目を浴びている抗酸化成分の多くは緑黄色野菜やお茶、大豆、果物などいずれも植物に由来する成分である一方、動物由来の抗酸化成分については研究例が少ないのが現状である。近年、鶏肉にはアンセリンとカルノシンと呼ばれる抗酸化性ジペプチドが豊富に含まれており、新たな特性を持つ抗酸化食品成分として注目されつつある。本研究では、これらチキンエキス中の抗酸化性ジペプチド(Anserine-Carnosine: ACmix)に着目し、これら抗酸化性ジペプチドを効率的に精製・濃縮することのできるプロセスを開発するとともに、ACmixの生活習慣病予防効果を臨床的に検証することを目的とする。
成果の内容・特徴1.熱水抽出したチキンエキスのACmixを陽イオン交換カラムに吸着させ、弱アルカリ溶液で溶出させることにより、抽出液中の中性および酸性アミノ酸をほぼ完全に除去できることが明らかとなった。ついで、これらをさらに精製するためのナノろ過(NF)膜の選抜を行うとともに、種々の操作条件下でろ過試験を行い、ACmixの精製・濃縮に適したろ過条件を選定した。これらの結果に基づき、1ヶ月あたり120 kgの精製ACmixを生産することのできる工場規模パイロットプロセスを設置した(図1および2)。
2.各種活性酸素によるタンパク質分解に対する阻止効果を指標として抗酸化活性を評価した結果、植物由来の脂溶性抗酸化剤(フェルラ酸等)や水溶性抗酸化剤(ビタミンC)は、それぞれOH・とONOO・に対して強い抗酸化活性を示したのに対し、ACmixはClO・に対して特異的に強い抗酸化活性を示した。
3.このことから、3種の活性酸素を抑える成分を含有する食品が理想的であると考え、3種の抗酸化成分配合の効果を、健常人志願者を対象とした臨床試験により、評価した。1瓶(50 ml)あたり、ACmix 400 mg、ビタミンC 300 mg、フェルラ酸 20 mgを含有した清涼飲料を調製し、1日あたり1本の分量で8週間服用した結果、リンパ球DNAの損傷が減少するとともに、血中総コレステロールおよび低比重リポ蛋白(LDL)が有意に低下するといった効果が確認された(図3)。
4.なお、精製したアンセリン・カルノシンの安全性については、マウスおよびラットを用いた試験(単回投与および反復投与)により確認済みである。

成果の活用面・留意点
1.長期反復投与試験(56日間)による安全性の確認、ヒト試験による至適投与量の推定を行い、抗酸化成分の組み合わせ効果をさらに明確にする予定である。
2.本研究は、食品総合研究所と東海物産株式会社との共同研究で実施されたものである。
具体的データ
図1 ACmix精製・濃縮プロセス
図2 工場規模パイロットプラントの外観
図3 アンセリン・カルノシンの抗酸化効果の健常人での臨床試験
予算区分食品プロ
研究期間2006~2010
研究担当者  鍋谷浩志、ハギ原昌司、塩谷茂信(東海物産)、柳内延也(東海物産)
発表論文1) 柳内ら(2007)日本膜学会誌、32(4):197-202
特許出願(公開)2) 鍋谷ら(2007)「抗酸化性ジペプチドの製造方法」特許出願2007-216243
発行年度2007
収録データベース研究成果情報

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