耐虫性遺伝子組換えトウモロコシの花粉に含まれる Btトキシンの生物検定法

耐虫性遺伝子組換えトウモロコシの花粉に含まれる Btトキシンの生物検定法

タイトル耐虫性遺伝子組換えトウモロコシの花粉に含まれる Btトキシンの生物検定法
要約ヤマトシジミは,Btトキシン(Cry1Ab)遺伝子を組換えたトウモロコシの花粉に対して感受性が高く,Bt花粉の非標的鱗翅目昆虫への毒性を推定するのに適している。検定品種の花粉密度を変えて生葉片上に載せ,ヤマトシジミ1齢幼虫に5日間連続摂食させ,その毒性を死亡率で見る生物検定法を作成した。
担当機関(独)農業環境技術研究所 生物環境安全部 昆虫研究グループ
区分(部会名)農業環境
分類行政
背景・ねらい米国でBt組換えトウモロコシの花粉が圃場内外に飛散し,オオカバマダラに影響を与える可能性が報告された。Bt花粉がこのチョウの幼虫に及ぼす毒性の程度は,組換えトウモロコシの品種によって異なることが判明している。わが国においても,栽培用Bt組換えトウモロコシの花粉が非標的鱗翅目昆虫に及ぼす影響を評価する際に,Bt花粉の毒性レベルを知る必要があり,そのために生物検定法の確立が求められている。
成果の内容・特徴
  1. 採集や入手が比較的容易なチョウ類のうち,モンシロチョウ,ナミアゲハ,ヤマトシジミ,ウラナミシジミおよびイチモンジセセリ,ガ類のカイコ(品種:輪月),コナガ,アワノメイガ,スジコナマダラメイガの幼虫にBt花粉(品種:N4640Bt,Cry1Abを含有)を摂食させたところ,ヤマトシジミ1齢幼虫が最も感受性であり(表1),摂食5日後の半数致死濃度(LC50)は約1,800粒/cm2であった(図1)。
  2. 検定法としては,(1)ヤマトシジミの若齢幼虫は葉の片面を摂食するので,葉表に片面粘着テープを張った生葉片(直径10mm)を作り,実体顕微鏡下で10~20μlの水と混ぜながら花粉を葉裏全体に均等に広げ付着させる。(2)小試験管(直径1cm,長さ5.5cm)に孵化12時間以内の1齢幼虫5頭と花粉を載せた生葉片を入れ,Bt花粉区で死亡率が高くなる5日目まで飼育する。花粉の載った生葉片を毎日1枚ずつ入れ,古い葉片を除去する。(3)1区当たり小試験管6本程度とし,対照として非組換え花粉区を設ける。(4)生存幼虫数を毎日調査し,Bt花粉区と非組換え花粉区間で死亡率を,あるいは品種間で補正死亡率を比較する。
  3. Cry1Abを含む別の組換えトウモロコシ4品種の花粉を上記の方法で実際に検定したところ,既に非標的鱗翅目昆虫に対する影響は無視できるとされている基準品種(N4640Bt)と同等かそれ以下の毒性であった(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 農林水産省から出されている組換え体の環境への安全性確認のための指針に沿ったBt組換えトウモロコシの花粉の生物検定法として利用できる。
  2. 他のタイプの鱗翅目害虫用Btトキシンを含む花粉に対しても利用できる。
具体的データ
(表1)
(図1)
予算区分緊急調査[トウモロコシ花粉],バイテク先端技術[組換え体産業化]
研究期間2001~2003
研究担当者近畿中国四国農業研究センター)、斎藤修(現、松井正春
発表論文松井正春,Bt遺伝子組換えトウモロコシの花粉飛散による鱗翅目昆虫への影響評価,農業環境技術研究所研究報告, 21,(2002)
発行年度2001
収録データベース研究成果情報

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