分解菌集積木質炭化素材を用いたシマジンの現地におけるバイオレメディエーション

分解菌集積木質炭化素材を用いたシマジンの現地におけるバイオレメディエーション

タイトル分解菌集積木質炭化素材を用いたシマジンの現地におけるバイオレメディエーション
要約 除草剤シマジンの分解細菌CD7菌群を木質炭化素材に集積させ、ゴルフ場の下層(深さ15cm)に1cmの厚さで敷き詰めると,ゴルフ場に散布されたシマジンは木質炭化素材層に吸着され,そこで分解・無機化される。この技術により,ゴルフ場下層土や地下水及び河川水の汚染が長期間,大幅に軽減される。
担当機関(独)農業環境技術研究所 化学環境部 有機化学物質研究グループ
区分(部会名)農業環境
分類技術
背景・ねらいトリアジン系除草剤は内分泌かく乱作用を有すると疑われ,国内外の環境水中から最も多く検出されている農薬である。有機化学物質による汚染土壌の修復と地下水の汚染防止技術を確立するため,トリアジン系除草剤シマジンの分解細菌CD7菌群(土壌から分離した2種の細菌の複合系)を用い,シマジンの分解能及び分解代謝経路を解明する。また,CD7菌群を木質炭化素材に集積させた分解菌集積素材を用い,分解菌の汚染環境への効率的な接種法を開発するとともに,分解菌集積素材を実際の野外汚染環境に接種し,環境修復の実証試験を行う。
成果の内容・特徴
  1. 14C-標識シマジンを用いた分解・代謝試験の結果から, CD7菌群によりシマジンは短時間でトリアジン環が開裂し無機化される。また,代謝物として少量のヒドロキシシマジン,シアヌ-ル酸が検出される (図1)。
  2. CD7菌群のシマジン分解速度は15~25℃で非常に速いが,10℃以下になると低下する。また,CD7菌群は他のトリアジン系除草剤のうちアトラジンは分解できるが,塩素がチオメチル基で置換されたシメトリンやジメタメトリンは分解できない。なお,CD7菌群のシマジン分解速度はシマジン以外の炭素,窒素源存在下でも低下しない。
  3. 汚染土壌環境への分解菌集積炭化素材の接種法としては,分解率で比較すると敷き詰め法(カラム底部に敷き詰め)の方が混和法(土壌と均一に混和)より優れている。
  4. ゴルフ場の下層(深さ15cm)に分解菌集積木質炭化素材(菌数:7.5×107cfu/g 乾物)を1cmの厚さに敷き詰める(処理区)ことにより,シマジンを対照区(分解菌未添加以外は処理区と同じ)と比較して70~90%分解除去できる (図2)。木質炭化素材中シマジン濃度は対照区で高濃度を維持するが,処理区では分解により,散布6ヶ月後に0.3mg/kg以下まで低下する(図3)。また,木質炭化素材中の分解菌数は接種4ヶ月後に105cfu/g 乾物レベルまで低下するが,20ヶ月後まで一定の菌数レベル(105cfu/g 乾物)を維持し,高い生残性を示す(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 除草剤シマジンの吸着能と分解速度を環境中で同時に長期間高めることができる本技術は,シマジンで汚染された土壌及び水環境修復や汚染防止のための基盤技術として利用できる。
  2. 本技術では分解菌を培地と共に接種するため,土壌の種類や土壌pHなど分解菌が現地土壌条件の影響を受けることが少なく、生残性が向上し,長期間使用できる。また,CD7菌群は低温(5℃)でもシマジン分解活性を失わない。  
  3. 集積させる分解菌の種類を変えればシマジン以外の難分解性有機化合物で汚染された環境の修復や汚染防止にも適用することが可能である。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分環境研究[環境ホルモン]
研究期間2001~2002
研究担当者鄕木和広、吉岡祐一(東洋電化工業(株))、薩摩孝次(残留農薬研究所)
発表論文Takagi and Yoshioka, Abstracts of 10th ICCCP (Basel), Vol.2, 56 (2002)
発行年度2002
収録データベース研究成果情報

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