牛の聴性脳幹誘発電位測定法

牛の聴性脳幹誘発電位測定法

タイトル牛の聴性脳幹誘発電位測定法
要約 牛の聴性脳幹誘発電位測定法は、牛を立たせたままで、非侵襲的に頭部皮膚表面から脳幹各部の機能を検査することができる。
キーワード牛、脳幹機能診断、聴性脳幹反応、非侵襲、立位
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 生産病研究チーム
連絡先029-838-7708
区分(部会名)動物衛生
分類研究、参考
背景・ねらい 痙攣、麻痺、運動失調などの脳神経機能障害を伴う疾患の検査として、医学領域では脳波・誘発電位等の機能検査やMRI等の画像検査が活用され診断・治療に効果をあげている。動物で脳波・誘発電位やMRI等の脳神経機能検査を行う場合は体動を完全に抑えるために全身麻酔などの処置が必要となるが、牛では体動制御が非常に困難(体重が約600kgと非常に体が大きい)で、かつ頭部の骨格構造上、皮膚表面から脳内の電位等を検出することが困難なことから、脳神経機能を非侵襲的に検査できる有効な方法はこれまでない。そこで我々は臨床現場で牛の脳神経機能を検査することができる技術の開発を目指し、牛を立たせた状態で頭部の皮膚表面から非侵襲的に脳幹各部の機能を示す波形(誘発電位)を安定的に導出する牛の聴性脳幹誘発電位測定法の開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. ホルスタイン種成牛の頭部皮膚表面4カ所に針電極を設置し、アンプ感度を10μv/div、高域フィルタを3kHz、低域フィルタを100Hz、刺激頻度を10Hz、波形のReject levelを3div等に設定し、筋電図混入防止のため軽度の鎮静処置並びに両耳を保定し、我々が作製する牛専用のシリコン製イヤホンを用いて音刺激を行い、2000回の加算処理を行うことで、牛を立たせた状態で頭部皮膚表面から誘発電位を導出することができる(図1,図2)。
  2. 牛では刺激音圧が75dB以上で誘発電位の波形が出現し、5/1000秒以内に明瞭な陽性波としてⅠ(聴神経)・Ⅱ(延髄)・Ⅲ(橋)・Ⅴ波(中脳)が安定的に出現し、各波の出現時間(潜時)の再現性は非常に良い(図1,表1)。
  3. 鎮静処置(キシラジン投与)により牛の咀嚼運動の停止や体動の減少が認められ測定中に安静な立位の状態を保てることから、筋電図雑波混入の減少や基線の安定化など無処置時に比べて導出波形の解析感度の改善が図られる(図1,表1)。
  4. 牛では鎮静剤投与による各導出波形の測定数値(潜時)への影響は認められない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 今回開発した方法は、鎮静処置で牛の体動を制御して非侵襲的に立位で測定することができるため、様々な神経症状を示している牛についても体動を制御し脳幹機能の臨床検査を安全に実施することが可能である。
具体的データ
図1 鎮静処置及び無処置のホルスタイン種成牛における聴性脳幹反応の波形
表1 鎮静処置及び無処置のホルスタイン種成牛における聴性脳幹反応の各反応成分の潜時
予算区分競争的研究資金(高度化事業)
研究期間2006~2008
研究担当者岡田洋之、松井義貴(北海道根釧農試)、新井鐘蔵、草刈直仁(北海道畜試)、中野貞雄(富士平工業)、福田茂夫(北海道畜試)
発表論文Arai (2008) Can. J. Vet. Res.72(3):287-290
Arai (2008) Can. J. Vet. Res.72(3):287-290
発行年度2007
収録データベース研究成果情報

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