全きょうだい家系サンプルとRAPD法によるウシY染色体特異的DNAの単離

全きょうだい家系サンプルとRAPD法によるウシY染色体特異的DNAの単離

タイトル全きょうだい家系サンプルとRAPD法によるウシY染色体特異的DNAの単離
要約全きょうだい家系のDNAサンプルとRAPD法とを組合わせた簡単な方法でウシのY染色体特異的(雄特異的)DNA配列を単離できることがわかった。得られたDNA断片は胚の性判別への応用あるいは雄特異的多型マーカー探索のプローブとして活用できる。
担当機関東北農業試験場 畜産部 家畜育種研究室
連絡先019-643-3541
区分(部会名)畜産
専門育種
研究対象乳用牛・肉用牛
分類研究
背景・ねらいウシでは受精卵移植と胚の性判別を組み合わせて育種改良を速めようというニーズがあ
る。その判別には胚の一部を取り出し,PCR法により雄だけが持っているDNAすなわちY染色体特異的DNA(以下,Y特異的DNA)の有無を調べる方法が主流になっている。すでにいくつかのウシY特異的DNAが知られているが,これらの利用には特許などの制約がある。また,性判別以外にも,多型性に富むY特異的配列か得られれば進化の系譜を雄側から追跡する手段として利用できる。Y特異的DNA配列の単離方法はいくつかあるが,多大な労力を必要とするものか多い。本研究では全きようだいサンプルを用いて簡単な方法でウシY特異的DNAを単離する事を目的とした。
成果の内容・特徴
  1. RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA:任意の短いプライマーと緩いアニール条件によるPCRで同時に複数のDNA断片を増幅する手法)を用いて,特定のゲノム領域に近接するマーカーを迅速に同定するために植物分野で開発された方法を,ウシY特異的DNAの単離に適用した(図1)。黒毛和種の全きようだい家系(父、母、子♂4頭、♀3頭)のDNAサンプルを用い,子のDNAは性別にそれぞれ混合し、父、母、子♂、子♀の4サンプルに対して24種類のプライマー(12-mer)による300の組合せでRAPD分析を行った。
  2. その結果,父にあって母にはなく、子♂だけに伝達されたバンドが7本あった。これ
    らについてさらに個々の子♂および血縁関係のない♂ヘの伝達を調べたところ、少なくと
    も4つについて雄特異的な伝達か確認された(図2)。
  3. これら4種類のDNAばサザン法により雄特異的であることを確認した(図3)。さらに塩基配列を決定してデータペースを検索したが,いずれも既知の配列ではなかった。
成果の活用面・留意点
  1. RAPD法で得られたY特異的DNA断片については直接胚の性判別への利用,あるいはより反復度の高い配列や雄特異的多型マーカー探索のプローブとして活用できる。また,本法は他の家畜へ応用することが可能である。
  2. サンプル数の限定される全きようだいではなく,多数のランダムな個体から単純に
    性別にプールしたサンプルを用いて,同様の効率でY特異的DNAが得られる可能性もあるがそれについては検討していない。
具体的データ
(図1)
(図2)
(図3)
予算区分経常
研究期間1996~1996
発表論文1)Identification of bovine Y-specific ramdom amplified polymorphicDNA markers by bulked segregant analysis.第25回国際動物遺伝学会講演要旨集,P27(1996)
2)RAPD法を利用したbulked segregant analysisによるウシY染色体特異的DNA配列の単離.第91回日本畜産学会大会講演要旨,p290(1996)
発行年度1996
収録データベース研究成果情報

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