イネからのENOD40 遺伝子の単離と発現解析

イネからのENOD40 遺伝子の単離と発現解析

タイトルイネからのENOD40 遺伝子の単離と発現解析
要約マメ科植物の根粒形成初期過程で重要な役割を担うENOD40 遺伝子がイネゲノム中に存在し、茎の大維管束形成の初期過程で特異的に発現していることを明らかにした。
担当機関農業生物資源研究所 生理機能部 窒素固定研究室
連絡先0298-38-8377
区分(部会名)生物資源
専門バイテク
研究対象豆類
分類研究
背景・ねらい マメ科植物の根粒形成は、一群の根粒特異的な遺伝子(nodulin遺伝子)の発現の上に成り立っている。マメ科植物は本来植物一般が保有している遺伝子を転用することによって根粒形成の能力を獲得していったという考えのもとに、これらnodulin遺伝子のホモログをイネ等非マメ科植物から探索し、プロモータ構造や発現を比較解析することによって、nodulin遺伝子が根粒特異的な発現と機能を発揮するに至った過程を検証する。そのため、根粒形成シグナルにもっとも早く応答し、根粒原基形成に重要な役割を果たすと考えられるENOD40 をイネから単離した。
成果の内容・特徴
  1. ダイズENOD40 をプローブとして野生イネ(O.brachyantha )からObENOD40 遺伝子を単離し、これをプローブとして栽培イネ(O.sativa, 日本晴)からOsENOD40 を単離した。マメ科植物のENOD40 によく保存された2つの領域、region IとIIはイネENOD40 にもよく保存されており、region Iはマメ科ENOD40 と同様に12アミノ酸よりなるペプチドをコードしていた。(図1)
  2. OsENOD40発現は茎特異的で、抽出初期の葉に連結する発達初期の茎大維管束の原生導管を囲む木部柔細胞にのみ認められた。(図2)
  3. OsENOD40プロモータ::GUSをダイズ毛状根に導入したところ、根粒では維管束系の周縁の細胞にのみGUS活性を認めた。この発現パターンはダイズENOD40 プロモータを用いた実験の結果およびmRNAの局在と一致した。
  4. これらの結果から、イネENOD40 遺伝子が茎維管束の形態形成ないし機能に関連して重要な役割を持っていることが示唆されるとともに、イネENOD40 がマメ科植物ENOD40 と少なくとも一部共通な調節機構に支配されていることが示された。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究により、これまでマメ科植物根粒にのみ特異的と考えられていた初期nodulin遺伝子が植物一般に普遍的に存在し機能していることが、はじめて示された。
  2. イネENOD40 による形質転換実験の他、イネENOD40 プロモータ::GUSを導入したイネを用い、オーキシンや根粒菌Nod factorに対する応答を調べる予定である。
具体的データ
図1
図2
予算区分経常、大型別枠 [形態生理]
研究期間1998~2001
発表論文Kouchi, H., Takane, K., So, R.B., Ladha, J.K. and Reddy, P.M. (1999)Rice ENOD40 : Isolation and expression analysis in rice and transgenicsoybean root nodules. Plant J . 18:(2) 121-129
発行年度1998
収録データベース研究成果情報

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