酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子を導入したいもち病抵抗性組換えイネ系統

酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子を導入したいもち病抵抗性組換えイネ系統

タイトル酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子を導入したいもち病抵抗性組換えイネ系統
要約ナシの花柱で発現する酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子を導入することによって、水稲品種のいもち病抵抗性を強化することができる。この遺伝子を導入した組換え体は稔実率や形態などで原品種と大きな差異が認められない。
担当機関北陸農業試験場 地域基盤研究部 稲育種素材研究室
連絡先0255-26-8304
区分(部会名)生物資源
専門バイテク
研究対象稲類
分類研究
背景・ねらい 近年、稲作経営における経済効果および環境保全の観点から、主要病害に対する耐病性系統作出が必要とされている。遺伝子組換えによって新たな抵抗性を優良品種に導入できれば、農業生産に大きく寄与できる。
 本研究では、植物の病原体に対する感染防御反応のひとつである感染特異的タンパク質(PRタンパク質:pathogenesis related protein)類の誘発による抗菌作用現象を利用することとし、横浜市立大学でクローニングされたナシの酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子を良食味水稲品種「どんとこい」に導入し、いもち病抵抗性の向上を確認することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 形質転換ベクターは、35S改変高発現型プロモーター(REXφ)にナシの酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子を接続して構築し、アグロバクテリウム法でイネに導入した(図1)。
  2. 導入系統のT1種子をハイグロマイシン入り培地で発芽させて遺伝子導入個体を選抜し、4.5葉期の幼苗にいもち病菌(レース007)を噴霧接種した結果、種々の程度に抵抗性を示す組換え体が得られた。抵抗性個体では、いもち病の罹病性病斑は認められるが、原品種と比較すると発病程度は低く、また、病状の進行も遅延する(図2)。
  3. 抵抗性が確認された組換え系統では、ゲノミックサザン法、ノーザン法、ウェスタン法によって酸性型ナシタウマチン様タンパク質の存在、発現が確認できる(図3)。
  4. 組換え系統は、耐病性以外は稔実率、形態などで原品種と大きな差異は認められない。
成果の活用面・留意点
  1. 酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子の導入によって、イネ品種のいもち病耐病性を向上させることが可能になる。
  2. 今後、T2世代以降について導入遺伝子の発現の安定性を調査する予定である。
予算区分組換え・クローン
研究期間2000~2000
研究担当者黒田 秧、青木秀之、中島敏彦、田村泰章、矢頭 治
発表論文1)青木秀之, 中島敏彦, 田村泰章, 梁 正偉, Wang Qing Yu, 佐々英徳, 矢頭 治 (1999) 酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子導入による糸状菌抵抗性イネの作出, 第23 回日本分子生物学会年会, 講演要旨集, 507.
2)An acidic pear thaumatin-like protein (PsTL1) enhanced field resistance of rice against blast fun-gus,Magnaporthe grisea. (2000) Plant & Animal Genome IX, 100.
発行年度2000
収録データベース研究成果情報

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